■住まいづくりに大切なこと
住まいは「安全で安心して過ごせる場所」であると同時に、家族のコミュニケーションを育む大切な場です。
お互いを理解し、思いやる心を育てる場所であり、やがて社会に巣立っていく子どもを育てる“教育の場”でもあります。
たとえば、生まれたばかりの赤ちゃんは夜泣きをします。
「お父さんはゆっくり眠れるように別室で」と考える家庭もあるでしょう。
けれども、もしお父さんがまったく泣き声の聞こえない部屋で寝ていたらどうでしょうか。
夜中に何度も起きて授乳するお母さんの大変さに気づくことができるでしょうか。
赤ちゃんは夫婦ふたりの子どもです。
家のつくりひとつで、お互いを思いやる気持ちが育つかどうかが変わってくるのです。
また、「家族の声やテレビの音が気になって勉強に集中できないから」と、完全に静かな個室を子どもに与えようとする親もいます。
しかし、本当にその静けさが集中につながるでしょうか?
授業中でもテスト中でも、社会に出てからも、完全な静けさはほとんどありません。
むしろ、多少の雑音の中でも集中できる力を育てることが、これからの時代には大切かもしれません。
子ども部屋は「勉強のための空間」だけでなく、
・自分の物を管理する力を育む場所
・整理整頓の習慣を身につける場所
・ひとりの時間を過ごす“心のリセット空間”
として考えてみるのも良いと思います。
子どもの成長に合わせて、
家全体 → 子どものスペースコーナー → 子ども部屋
と、少しずつ空間を変化させていくのが理想的です。
その際はぜひ、夫婦や親子で「部屋の使い方」を話し合いながら進めてください。
そうした対話の時間こそ、家族の絆を深める第一歩です。
■ 子どもとの会話を大切にする間取り
・年齢に合わせて見守れる配置や家具の工夫をする
・部屋同士の動線を工夫し、子どもの孤立を防ぐ
たとえば、玄関からすぐ個室に入れる動線よりも、一度リビングを通って自分の部屋に行くような間取りにすると、自然に「ただいま」「おかえり」の声が交わせます。
来客中でも生活の邪魔にならないよう、玄関や個室がリビングと交差しない間取りを選ぶ方も多いですが、
「子どもが来客にあいさつをする」「友だちを連れてきたとき、家族と顔を合わせる」といった日常の積み重ねが、実は社会性を育てる大切な経験になります。
■ 家族が自然と集まる“何か”をつくる
家の中には、家族が自然と集まる場所を意識的につくりましょう。
たとえば、大きなテーブルを置いて、宿題をしたり読書したり、おやつを食べたり。
それぞれ別のことをしていても、同じ空間を共有することで会話が生まれます。
また、大きなテレビをリビングに置いてみんなで映画やゲームを楽しむのもおすすめです。
「家族が囲むもの」「集うもの」を意識して、住まいに取り入れてみてください。
■ 家事を効率化して、家族と過ごす時間を増やす
子どもがいると、家事の量も時間も夫婦二人の頃とは比べものになりません。
最近は便利な住宅設備が多くありますので、時短につながる設備や家事動線を意識した間取りを取り入れるのも良いでしょう。
時間に余裕ができた分、子どもと一緒に本を読んだり、工作を見守ったりと、心に残る時間を過ごせます。
私自身、子どもたちに『ハリー・ポッター』シリーズを全巻読み聞かせたことがあります。
みんなが寄り添って聞いてくれた、あの時間は今でも忘れられません。
■ 家づくりでストレスを減らし、心地よい暮らしを
もちろん、家の造りがすべてではありません。
本当に大切なのは、そこで暮らす家族のあり方です。
たとえ間取りが閉鎖的でも、生活の仕方を工夫することで、孤立や無関心を防ぐことはできます。
家族が「ほっとできる」時間を持てるよう、日々の工夫を大切にしましょう。
私の子どもたちは、末っ子を除きそれぞれ自分の部屋を持っていました。
どんな本を読んでいるか、どんなゲームに夢中なのか、よく話を聞いていました。
ある日、次男が「この本をお母さんも読んで」とすすめてくれたことがあり、一緒に読んで感想を話した思い出があります。
あれから15年経った今でも、その本の話をきっかけに会話が弾むことがあります。
子どもは、自分の世界や興味を理解してほしいのです。
ちなみに、部屋を持たなかった末っ子は、少し整理整頓が苦手です。
家づくりは「快適な空間」をつくるだけでなく、「心に余裕を持てる暮らし」を実現するものです。
生活にゆとりが生まれる住まい探しを、ぜひ楽しみながら進めてください。
リニュアル仲介の渡辺でした。




-640x330.jpg)







