不動産取引ガイド

離婚時の不動産売却で知っておくべき重要なポイント!

離婚は人生における大きな転機であり、夫婦が共に築いてきた財産をどのように分けるかは、重要な課題の一つです。
特に不動産は高額な資産であるため、その売却や財産分与には慎重な対応が求められます。
離婚に伴う不動産売却では、名義の問題、住宅ローンの残債、売却のタイミング、税金の取り扱いなど、複数の要素を考慮しながら進める必要があります。
これらを事前に理解し、計画的に対応することで、スムーズな財産整理とトラブルの回避につながります。今後の参考にお役立てください。

■不動産の名義と共有財産の考え方

離婚時の財産分与を考える際、まず確認すべきなのは不動産が「共有財産」に該当するのか、それとも「特有財産」なのかという点です。
共有財産とは、結婚後に夫婦が協力して築いた財産のことを指し、原則として財産分与の対象となります。
一方、特有財産は結婚前から所有していたものや、相続・贈与によって得たものであり、財産分与の対象外です。
不動産の売却手続きにおいては、登記上の名義が重要な意味を持ちます。
不動産は原則として名義人しか売却することができません。
夫婦の共有名義になっている場合は、両者の同意がなければ売却はできません。
どちらか一方の単独名義になっている場合も、名義人の同意が不可欠です。
そのため、離婚協議の段階で、不動産の取り扱いについて両者が合意しておくことが極めて重要になります。

■住宅ローンが残っている場合の対応

多くの場合、マイホームには住宅ローンが残っています。ローンの残債状況によって、売却時の対応は大きく変わってきます。
売却価格がローン残債を上回る「アンダーローン」の状態であれば、売却代金でローンを完済し、残った金額を夫婦で分け合うことができます。
この場合は比較的シンプルに手続きを進められます。問題となるのは、売却価格よりもローン残債のほうが多い「オーバーローン」の状態です。
この場合、売却してもローンを完済できないため、不足分を夫婦の貯蓄などから補填する必要があります。
財産分与の手続きも複雑になり、どちらがどれだけ負担するかで対立が生じることもあります。
オーバーローンの場合は、金融機関の同意を得て任意売却を進めることも選択肢の一つです。
任意売却では、金融機関と交渉し、ローン残債を下回る価格での売却を認めてもらうことになります。
また、夫婦それぞれが個別にローンを組む「ペアローン」を利用している場合も注意が必要です。
それぞれのローン残債と売却代金の配分について、慎重に調整する必要があります。

■売却のタイミングと税金の注意点

離婚に伴う不動産売却は、離婚前に行うことも離婚後に行うことも可能ですが、それぞれに税務上の注意点があります。
離婚前に不動産を売却し、その代金を分与する場合、税務上「贈与」とみなされる可能性があります。贈与とみなされると贈与税が課税されるため、大きな負担となる場合があります。
一方、離婚成立後に売却し、その代金を財産分与として受け取る場合は、原則として贈与税は課税されません。これは、財産分与が離婚に伴う財産の清算という性質を持つためです。
ただし、離婚後に財産分与の請求ができるのは、離婚成立から2年以内という期限がありますので、注意が必要です。期限を過ぎてしまうと、財産分与の権利を失う可能性があります。
また、離婚に際して不動産の名義を一方から他方へ変更する場合、通常は贈与税は発生しませんが、名義を渡す側に「みなし譲渡」として譲渡所得税が課税される可能性があります。
これは、不動産を取得した時点と名義変更時点の価格差に対して課税されるものです。
不動産の価値が購入時よりも上がっている場合、想定外の税負担が発生することもありますので、事前に税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

■財産分与のルールを明確にする

財産分与は、原則として離婚成立後に売却代金を分け合うのが一般的な方法です。
しかし、売却益の分配割合や方法について、夫婦間で意見が対立することも少なくありません。
このようなトラブルを防ぐためには、離婚時に財産分与のルールを明確にし、できれば公正証書として残しておくことが重要です。
公正証書は法的な効力を持つ文書であり、万が一相手が約束を守らない場合には、強制執行の手続きをとることも可能になります。
財産分与の割合は、原則として夫婦で2分の1ずつとされることが多いですが、それぞれの貢献度や離婚に至った経緯などによって調整されることもあります。
また、どちらか一方が不動産に住み続ける場合の家賃相当額の取り扱いや、売却までの固定資産税などの負担についても、事前に取り決めておくとよいでしょう。

■離婚時の不動産売却の重要なポイント

離婚時の不動産売却は、感情的にも金銭的にも負担の大きい手続きです。
しかし、名義の確認、住宅ローンの状況把握、売却のタイミング、税金の取り扱い、財産分与のルールなど、重要なポイントを押さえて計画的に進めることで、トラブルを最小限に抑えることができます。
複雑な問題については、不動産の専門家や弁護士、税理士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。新しい人生のスタートを円滑に切るためにも、冷静かつ慎重な対応が重要となります。
今後の参考にお役立てください。

法人営業部 犬木 裕

 

法改正で変わる中古住宅の新常識― 価値が下がる「買ってはいけない家」、価値が上がる家の見極め方 ―前のページ

天井の種類と形状で空間の印象を左右するポイント次のページ

ピックアップ記事

  1. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  2. 危険な場所は 地形図で見分ける
  3. 土地価格の相場を知る方法
  4. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?
  5. 住宅購入と 生涯の資金計画

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    良質な不動産会社の見分け方!? 

    『そもそも家を買いたいと思った時に誰に頼めばいいのかわからない・・・「…

  2. 不動産取引ガイド

    不動産もソーシャル・ディスタンス

    コロナ禍において提唱される人と人とのソーシャル・ディスタンスですが、同…

  3. 不動産取引ガイド

    借地権売却の相場と実務のポイントを徹底解説!

    借地権の売却を検討する際、多くの方が直面する最初の疑問は「いくらで売れ…

  4. 不動産取引ガイド

    <コロナ禍の不動産購入> 住宅リフォームガイドブック(令和2年度版)をご存知ですか?

    ■ コロナ禍に住宅購入される方は必見です。住宅リフォームガイドブックを…

  5. 不動産取引ガイド

    購入する物件が決まった後にすること その7(残金決済について)

    物件探しを行い、内見を進めていき、色々比較した中で『よし、この物件を購…

  6. 不動産取引ガイド

    インスペクションの誤った見方

    改正宅建業法の施行から1年以上経過し、あれだけ大騒ぎしたはずなのに、今…

  1. 不動産取引ガイド

    職場の地震倒壊リスクを確認!学校、よく行く商業施設、耐震性は大丈夫?
  2. 不動産取引ガイド

    どうせ買うなら早い方が良い理由
  3. 不動産取引ガイド

    自宅(不動産)を買う前に「想定外」の離婚に備える?!
  4. 不動産取引ガイド

    BELS(ベルス)とは!?
  5. 不動産取引ガイド

    行政の不動産情報が統合され、便利な世の中になる?!
PAGE TOP