日本は極端な少子高齢社会に突入しています。人口減少とそれにともなう空き家問題は、これから家を買う方にとって、非常に重要な問題となります。資産になる住宅購入を行うには、これらの社会現象についても理解を深めておく必要があります。今回は人口減少とマンションの空き家問題についてご説明いたします。
人口が急減し、日本から働き手がいなくなる
国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2030年の日本の人口は1億1660万人と予測されています。現在よりも1000万人、約9%の減少です。
9%と言われてもあまり実感がないかもしれません。しかし、現在の東京都23区の人口は約907万人です。ということはこの15年の間に東京都23区の人口に匹敵する人々がこの国から消滅してしまうのです。
人口減少問題を生産年齢人口の数でカウントすると事態はさらに深刻となります。2030年、日本の生産年齢人口は6773万人、現在と比べて1000万人、13%もの減少となります。
つまり日本から働き手がいなくなるのです。働き手が減るということは、家を買う人もまた大幅に減少してしまうのです。
実は東京は空きマンションだらけ
平成25年度総務省「住宅・土地統計調査」によると、日本全国の空き家数は820万戸、東京都の空き家は約81万戸に及びます。このうち約64%はマンションです。内訳は「賃貸用」が約42万戸、「個人住宅」が約6万戸ですが、「個人住宅」の空き住戸を東京23区で絞ってカウントすると約5万戸。多くの空き住戸が都心部に集中していることがわかります。
実際に東京都の空き家総数の約72%が23区内に存在し、その内訳は「賃貸用」であっても「個人住宅」であっても実態は変わりません。マンション空き家問題は東京の中心部に巣食っている現象なのです。そしてマンションの世帯主の7割以上が50歳以上という現実が空き家問題を深刻化させています。
マンション選びは「立地」が一番!将来にわたって人が集まる町を選びましょう
マンション空き家問題の行き着く先は管理不全によるマンションのスラム化です。早稲田大学小松幸雄教授の調査によると、鉄筋コンクリート造のマンションの寿命は68年とされています。これは適切な維持管理がなされることが前提です。
マンション住人の高齢化に伴い、管理費・修繕費の未納問題が顕在化、大規模修繕がままならず、マンションがスラム化する…これは悲観的な予測ではなく、地方都市ではすでに顕在化している問題なのです。スラム化したマンションの資産性はゼロです。いわゆる”ババ抜きのババ”となってしまうのです。
空き家が増えるということは、買い手にとっては選択肢が増えることになります。一見「お得」に見える物件も出始めています。しかし、マンションは「価格」だけで判断してはいけません。周辺相場と比較して高い場合も安い場合もその価格の理由を探ることが大切です。
リニュアル仲介では資産になる住宅購入をおすすめしています。10年後、20年後、マイホームとしての役目を終えた時に、資産となるマンションなのか、単なる負債でしかないのかは、すべて「立地」で決まります。人口減の時代にあっても人が集まる街選びが不動産購入で最も大切なことなのです。