2018年9月2日の日本経済新聞の朝刊に『浸水想定域に住宅誘導 まち集約の自治体9割で 防災後手、計画の再点検を』というタイトルでの記事が出ていました。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO34840540R30C18A8MM8000/
今回の記事を見て、自分の意見も交えてコメントしたいと思います。
先日も北海道胆振東部地震が発生してしまいました。また少し前には西日本豪雨などで洪水被害が相次ぎ、天災への備えが一段と求められるようになっています。その中で、まちの集約計画を掲げる主要な自治体の約9割で、浸水リスクの高い地区にも居住を誘導していることが日本経済新聞の調べで分かったようです。
こうした地区にはすでに住宅が集まっているケースもあり、都市の効率向上と災害対策を両立させる難しさが浮き彫りになったようです。
もともと、地形と自然災害には強い関連があると言われます。
たとえば、低地では洪水など水の被害を受けやすいし、地震時には揺れが増幅されやすく、液状化が起きることもあります。
一方、台地、丘陵などの高台では水による被害は起こりにくいものの、丘陵の崖を削って作られた土地では造成方法によって地震時に崩壊する危険があります。
つまり、自分がいる場所の地形が分かれば、そこにどんな危険があるのかが分かるというわけです。
しかも、日本の地形は大ざっぱにいうと4種類しかなく、山地、丘陵、台地、低地で、リゾート利用以外では山地に住む人は少ないので、それ以外の3種類を事を把握していれば良い事になります。
そもそも、今回の立地適正化計画の策定に手を挙げている自治体のほとんどが駅近・利便の良い場所に集約をしていく事を発表していますので、そこに今回の浸水リスクが関わっていると思います。
そもそも、鉄道を施設する場所を選定する上で、昔は開発費用等を抑えられる低地を選択してきた歴史を思い出せば、今回の浸水リスクの高い地区への誘導となってしまっている事はよく分かります。
現在、コンパクトシティー形成をめざす「立地適正化計画」の策定が全国で進んでおり、120以上の市町が居住を誘導する区域を設定しています。
http://www.mlit.go.jp/en/toshi/city_plan/compactcity_network.html
今回の記事を読んでみますと、日本経済新聞は居住誘導区域を3月末までに発表した人口10万人以上の54市を対象に、調査表や聞き取りを通じて浸水想定区域との重なり具合を調べたようです。
その結果、全体の89%となる48市で1メートル以上の浸水想定区域の一部が居住誘導区域となっていたようです。うち45市は大人の身長に近い2メートル以上の区域とも重なっていたようです。
既に市街地が形成されている事を理由だけに立地適正化計画の居住誘導区域を指定してしまうと、毎年、自然災害が増えていますので、いつか問題が発生した場合にトラブル事も懸念されます。
紙面を読んでいて初めて知った事として、西日本豪雨で被害を受けた広島県東広島市では居住誘導区域で浸水があったようです。一部は浸水リスクが指摘されていたようです。
残念なことに現在の誘導区域は被害対策が最優先で都市計画の議論がなされていない事を把握しておかなければなりません。
勿論、今後の住宅購入をする際には人口減・家余り・インフラの整備更新のしやすい場所(立地適正化計画内)に集約が図られてくると思いますが、その居住誘導区域内のハザードリスクの有無の調査は非常に重要だと思います。
ぜひ、今後の住宅購入の参考にしていただければ幸いです。
法人営業部 犬木 裕