契約関係

「家庭裁判所の許可」が必要な不動産取引

今回、販売チラシに「家庭裁判所の許可が必要」という記載がありました。

不動産取引で家庭裁判所の許可が必要なケースとは、どういった場合でしょうか。

不動産の取引で家庭裁判所の許可が必要となるケースは、たいてい本来の所有者が取引を行えず、代理人が取引を行う場合です。

想定されるケースの一つは、ご本人が認知症などにより契約などの判断ができないという状態です。

この場合には、「成年後見人(又は保佐人や補助人)」という代理人と契約を行うことになります。

次に、ご本人が亡くなってしまったが相続人がいない、というケースもあります。

子供も配偶者も、親も兄弟もいない、といった方が亡くなってしまった場合には、その不動産は「相続財産」というものに組み込まれます。

そして、これを取引する場合には、「相続財産管理人」を相手として取引を行うことになります。

そしてもう一つは、ご本人が失踪してしまい、不動産を管理する人がいなくなってしまった場合です。

この場合には、「不在者財産管理人」という代理人が契約行為を行うことになります。

どのケースでも、代理人が不適切な金額で不動産を処分してしまわないよう、契約内容について家庭裁判所のチェックが入ります。

そのため、無事に契約となるためには、「家庭裁判所の許可」が必要となるのです。

家庭裁判所の判断基準は、所有者にとって不利益を与えないか、ということになります。

そのため、家庭裁判所の許可が必要となっている物件については、あまりに大幅な値段交渉は難しいと考えられます。

また、考えられるリスクとしては、所有者本人への確認ができないため、細かい物件状況や資料などがわからない、といったことです。

所有者が購入した際の経緯や資料、隣地所有者との関係や、室内設備の不具合など、買主としては聞いておきたいことが、代理人は何も知らないので確認できない、といった場合もあります。

この場合には、現況や残存資料から判断するしかありません。

隣地との境界トラブルがないかの聞き込み、建築確認資料や契約関係書類の確認、現地での設備や建物の劣化調査などを、念入りに行う必要があるかと思います。

もちろん、場合によっては資料もしっかり残されており、トラブル要素もないシンプルな物件もあると思います。

ただ、それぞれケース・バイ・ケースとなりますので、検討される場合にはエージェントと二人三脚での確認をおすすめいたします。

相場より割安な物件については、割安なだけの何らかの理由があるものです。

思わぬ落とし穴にはまりませんよう、お住まい探しはぜひ信頼できるエージェントにご相談ください。

家を買うなら考慮したい省エネなどの住宅性能をご存知ですか?!前のページ

マイホームの資金計画次のページ

ピックアップ記事

  1. 危険な場所は 地形図で見分ける
  2. 住宅購入は不安でいっぱい
  3. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?
  4. 土地価格の相場を知る方法
  5. 住宅購入と 生涯の資金計画

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    よくある間違い。新耐震のつもりが旧耐震だった!

    よく耳にする「新耐震基準・旧耐震基準」。この法律の境目を正確に…

  2. 不動産取引ガイド

    俺の隠れ家的なガレージやカーポート設置で固定資産税が増える?!

    一戸建ての駐車スペースのプランには、スペースだけを確保し床面はコンクリ…

  3. マンション

    「タワマン・クライシス(タワーマンションの危機)」!?

    タワマン・クライシス(タワーマンションの危機)と言うタイトルの記事を見…

  4. 不動産取引ガイド

    マンションでカビが発生しやすい室内は?

    日頃、お客様と物件案内に行っていますと、マンション内での結露をよく見つ…

  5. お金

    全壊認定でローン残高の50%が免除される住宅ローン

    地震・噴火・津波により自宅が「全壊」と認定された場合、り災日時点の建物…

  6. お金・ローン・税金

    中古戸建 建物未登記部分がある場合の注意点

    中古戸建は、これまでの所有者が建物を増築していることがあります。増築と…

  1. 不動産取引ガイド

    今後の住宅ローンの金利はどうなる?
  2. 不動産取引ガイド

    「家を買うなら知っておきたい情報セミナーin博多」
  3. マンション

    押し寄せる物価高の波 顕在化する管理費・修繕積立金問題
  4. 不動産取引ガイド

    子育てしやすい間取り
  5. 不動産取引ガイド

    ドクトール?
PAGE TOP