不動産取引ガイド

不動産購入前に知っておきたい、子育てに必要な教育費等について

今春以降、子育てに関わる税制や手当が相次ぎ変更される予定です。4月には教育資金贈与の非課税制度で条件が厳格化し、2022年10月には児童手当の給付対象が狭まる事が発表されているようです。一定以上の所得がある子育て世帯に影響があるとみられ、教育費の準備について見直す必要がありそうです。そもそも初めての不動産購入をされる方の多くは、小さなお子様がいるタイミングでの住宅購入になる為、今後、不動産購入後にどれくらいの教育費等が掛かるかの把握は非常に重要です。

■不動産購入後に必要?!幼稚園から大学卒業までに掛かる教育費の平均をご存知ですか?!

文部科学省の資料などを基に幼稚園から大学卒業までの学費を試算してみると下記のような費用が掛かるようです。

〇一番安くて、幼稚園、小・中学校、高校、大学が国公立系で約783万円かかるようです。
(文系大学の場合)

〇幼稚園、小・中学校が公立、高校、大学が私立系の場合は1046万円(文系大学の場合)

〇幼稚園、小・中学校、高校、大学が私立系の場合は2181万円(文系大学の場合)

〇幼稚園、小・中学校、高校、大学が私立系の場合は2315万円(理科系大学の場合)

勿論、医学部・薬学部など医療系の学部に進学する場合はさらに費用がかかる事が想定されるため、不動産購入時にはお子様の人数によって、このような費用が必要となる事を想定しなければなりません。その対策として児童手当を学費に充てたり、子どもの祖父母から教育費の援助を受けたりすることを考える人もいると思います。

■児童手当の所得制限をご存知ですか?!<不動産購入後の子育てに必要な知識>

児童手当は子どもが中学校を卒業するまで受け取れ、子ども1人あたり総額約198万円が給付される制度ですが、所得制限が設けられているので注意が必要です。

<児童手当の所得制限>
扶養親族等の数(人) 所得(万円) 収入(万円)
0人  622万円  833.3万円
1人  660万円  875.6万円
2人  698万円  917.8万円
3人  736万円  960万円
4人  774万円  1002.1万円
5人  812万円  1042.1万円

所得制限を超えると「特例給付」の5000円が給付されますが、2022年10月分から、年収約1200万円以上の人がいる世帯向けの給付が廃止される見通しとなっています。

ちなみに特例給付の総支給額は約90万円と決して小さくなく、給付が廃止される所得額の詳細は法改正後に政令で定められるため未定となっていますが、該当しそうな世帯は給付を受けられなくなることを念頭に教育資金の準備が必要となります。

■30歳未満に不動産購入をする方が良い?!

「教育資金贈与の特例」にも変更があるようです。この制度は祖父母から孫への教育資金の一括贈与が一定額まで非課税になるというものです。贈与を受けられるのは30歳未満の人で、「学校等に支払われる教育費」は最大1500万円、習い事など「学校等以外に支払われる教育費」では最大500万円が非課税となります。本制度を利用するには信託銀行などの金融機関と教育資金管理契約を結び、贈与された資金を信託する流れとなるようです。資金を教育費として使う際には、非課税の対象となる教育費であることを証明する領収書などを提出する必要があります。

この制度を使わず、祖父母から教育費をその都度贈与してもらう場合でも原則、贈与税はかからないようです。一括贈与で管理するよりも手軽ではありますが、教育費が必要となったときに祖父母の健康状態が悪化したり、認知機能が衰えたりすると、銀行からお金を動かせなくなるデメリットがあるようです。

通常の祖父母から孫への贈与では、1500万円を受け取ると、孫が20歳未満なら450万5000円、20歳以上であれば366万円の贈与税が課されます。また、もし祖父母が亡くなり、資金を相続という形で受け取ると相続税がかかります。一括贈与の非課税制度を利用すれば、贈与税や相続税の負担がなくなるというのは知っていくと良いのではないでしょうか?!

教育資金贈与の特例は、2021年3月末までの予定でしたが2年間延長され2023年3月末までとなっています。ただし、2021年4月以降に贈与した分については内容が一部厳格化される方向で調整される予定となっており、注意が必要です。

現在は祖父母が亡くなった時点で贈与された資金が残っていた場合、贈与を受けてから3年未満だと相続税がかかり、2021年4月以降は、3年以上経っていても①受贈者(贈与を受けた人)が23歳未満②学校に在学中③教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している、という3条件のいずれかに該当しなければ相続税の課税対象となるようです。

いずれにせよ、このようなお話は今後、不動産購入後のお子様の子育てに必要なお話だと思いますので、いろいろな制度がある事と、必要なお金の確保も把握していただければ幸いです。

今後の参考にお役立てください。

法人営業部 犬木 裕

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