本日はリフォームによる家の資産価値アップについて、現場のリアルな声をお届けします。つい先日、家探しを私と一緒にしているお客様と売出中の物件を見に行った時のことです。都内某所(超主要駅徒歩圏の素晴らしい立地)、築約30年、約80㎡の中古マンション。低層マンションや戸建てが並ぶ、南西向きの明るそうなお部屋。大規模というと大げさですが、ある程度規模があり、エントランス等共用部には、必要なものはちゃんとある質実剛健な好印象のマンションです。価格は4000万円台中盤。周辺相場からみても、悪くない数字です。お客様も私も期待を抱きつつ、エントランスで売主側の仲介会社と合流しました。先方担当者からは「売主様は建築デザイン関係のお仕事をされていて、内装はデザイナーズ的な仕上がりになっており、若干個性的かと…」との説明。数多くの物件を見ていれば、そのような事も度々ありますし、嫌であればリフォームをしてしまえば良いので、あまり気にも留めずお部屋に向かいました。お部屋の前に到着し、インターフォンを押すと、爽やかな売主様のお返事とともに玄関ドアが開きました。
私:こんにち…
お客様:よろし…
お部屋が真っ黒です。
壁、天井、建具、造り付けの書棚、収納に至るまで、全て黒。空間を広く見せる為に一部間取りも変更してあります。フローリングは床材としては高級な杉材を利用し、冬でも素足で歩ける温かみがあります。建築のプロの方なので、原価でできているとはいえ、中々お金がかかっていると思います。聞けば、とあるリフォームコンクールでの受賞作品だとのこと。確かに、お洒落であることには疑う余地もなく、好きな人にはたまらない仕上がりなのでしょう。
でも...
お店などであれば隠れ家的な非日常の雰囲気で少しドキドキしますが、普段生活する家と考えると、落ち着かないのではないかと思います。
内見を終えて、お客様のご感想を聞いてみると、「石川さん、あれを普通のお部屋のようにするにはいくら位かかるのでしょうか?」との反応。残念ながら、ご趣味には合わなかったようです。その費用も考慮して購入価格を検討しなければならない為、話しを進めるにしても大幅な値引き交渉を要求せざるを得ない状態です。
リフォームをして(つまりお金を投資して)、市場で売れる価格(つまり資産価値)を下げてしまったのでは、元も子もありません。やはり、日常と非日常を分けて、住宅は万人受けする見た目が資産価値としても維持しやすいのでしょう。個性的なリフォームを否定するつもりはもちろんありませんが、個性の部分は投資ではなく、趣味でお金を使う部分であることを意識しながら予算を考えることが肝要です。
※添付画像は本物件とは全く関係ありません。イメージを伝える為に添付しました。
リニュアル仲介本部パイロット店の石川でした!