不動産取引ガイド

ビル空室率と併せて考える住まい購入

都心5区のビル空室率の上昇が止まらないという記事がありました。

これまで都心に大型のオフィスを構えていた事業者がオフィス戦略の見直しを図り、オフィスの縮小や移転が多くありました。
これにより生じた大口の募集床が後継テナントを確保できず、現空となる事例が散見されているようです。
オフィス需要はコロナ前の水準を下回る状況となっているとのことです。

職場の変化と住まい探しの優先項目

オフィスの縮小は主にテレワークの普及によるところが大きいと思います。
実際に、職場に出勤する回数が激減し、自宅で業務を行う方も増えたのではないでしょうか。
このことは、ライフスタイルから「通勤」という項目が減ることになります。

そのため、お住い探しの際に、「職場との距離」や「駅までの距離」、「急行停車駅」といった項目の優先順位が下がることになるかと思います。
たしかに、こうした項目の優先度が下がると、同じ予算でもより広い部屋やグレードの高い設備のあるお住まいが検討候補になってくるかと思います。

見落として欲しくない「資産価値」という視点

新しい希望条件でお住まい探しをする場合にも、「資産価値」という観点も忘れずにご検討いただければと思います。
状況は違いますが、一昔前に郊外の物件を買うことがブームになりました。
都内では多摩のベッドタウンなどです。

ただ、こうしたエリアは現在では、ひと時のブームが終わり、新しい買い手を見つけることが難しい物件になってしまっています。
不動産購入はたとえご自宅としての購入であっても、資産形成の一つの手段です。
投資的な視点から検討すれば、「総合的にマイナス評価の少ない」=「資産価値の落ちにくい」物件を選ぶべきだと思います。
駅から遠く、アクセスの悪い物件については、今の状況では問題がないかもしれませんが、将来的にもテレワークが続くとも限りません。
また、人口密集度の低いエリアの場合、水道や電気、ガスなどのインフラの整備や、買い物施設の維持などにも不安が残ります。

自分にとっての理想の環境と、他人にとっても平均点以上の物件

かと言って、テレワークがしづらく、家にいることがストレスになるような家を選ぶこともおすすめはしません。
日々の生活が充実することが、お住い探しの本質であると思います。
簡単なことではありませんが、自分にとっても生活し易く、他人にとっても魅力的に見える、というお住まい探しを目指していただければと思います。

納得できる土地選びのポイント3前のページ

中古住宅の取引活性化に土地・建物に官民共通IDを付与する時代へ次のページ

ピックアップ記事

  1. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  2. 危険な場所は 地形図で見分ける
  3. 住宅購入と 生涯の資金計画
  4. 立地適正化計画をご存知ですか?
  5. 住宅購入は不安でいっぱい

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    いつからスタートする?!「安心R住宅」とは?!

    夏ごろのスタート予定でした「安心R住宅」の制度がなかなか始まりません。…

  2. 不動産取引ガイド

    戸建・マンションで気になる音。騒音には2種類ありますが、軽減させる方法はただ一つ!

    住宅で問題になる騒音は、大きくわけて空気音と固体音の2つがあります。…

  3. 不動産取引ガイド

    中古住宅のキッチンは住み始めてからのカスタマイズがおすすめです

    家を選ぶときに重要な検討項目になるのがキッチンです。最新式のシステ…

  4. 不動産取引ガイド

    買った建物が地震で壊れた場合はどうなるのでしょうか?

    今回は危険負担についてお話しします。Q:AさんとBさんとの間で…

  5. かし保険

    既存住宅売買かし保険で気を付けたいこと

    既存住宅売買かし保険という制度をご存じでしょうか。特に中古戸建ての場合…

  6. 不動産取引ガイド

    海外赴任者 帰任に備えた日本の家探し 12 【ローン正式審査~決済編 1/6】

    「海外赴任者 帰任に備えた日本の家探し」シリーズ。前回の記事で売買契約…

  1. 不動産取引ガイド

    敷地境界に(ブロック)塀がある場合の注意点(その②)
  2. リノベーション

    建物インスペクションで家屋の弱点が浮き彫りに!
  3. 不動産取引ガイド

    在宅勤務時のCO2濃度リスク
  4. 不動産取引ガイド

    連帯債務者の団信
  5. 不動産取引ガイド

    避難訓練がお勧めです
PAGE TOP