不動産取引ガイド

マンションは内断熱か外断熱か

断熱は結露防止や省エネルギーの観点から必須。マンションは内断熱が一般的で、理想的な外断熱はコストアップが難点で普及しにくい。窓ガラスの断熱にはペアガラスが効果的。

現在のマンションは内断熱が一般的

そこで、最も重要になるのが外気の熱を遮断して室内の温度変化を少なくする断熱材。コンクリートの壁は、冬の夜には2~5時間ほどで冷えた外気と同じがくらいの温度になってしまうので、冷暖房効果を上げる省エネルギー観点からも断熱は重要です。

断熱材の施し方には、外壁コンクリートの室内側入れる「内断熱」と外側に入れる「外断熱」がありますが、主に外壁部分は内断熱にして屋上のみを外断熱にする方法。しかし、この方法では断熱が切れる部分があり、そこから熱が逃げてしまいます。それを防ぐためには、天井や床の一部にも60㎝ほどの十分な幅で断熱材を入れる「断熱折り返し」が施されている必要があります。

さらに断熱材に断熱材の材料や厚みもチェックしたいポイント。例えば、関東南部から九州北部の比較的温暖な地域ならば、外壁面の内断熱材の厚さが硬質ウレタンフォームで25㎝以上あれば合格点といえます。住宅性能評価書が付いていないマンションならモデルルームなどにおいてある設計図書の断面詳細図や仕上げ表などで確認し販売員から説明を受けておきましょう。

外断熱は物件価格とその効果を比べて選択

断熱効果をより高める方法として話題を集めているのが、外断熱マンション。建物の外側をすっぽりと断熱材でくるむので、壁の温度は室内とほぼ同じになり、結露は全くといっていいほど起きなくなります。また、コンクリートを保護する働きもあるので建物を長持ちさせるメリットもあります。

ただし、「温まりにくく冷めにくい」という特徴があるので、夜に帰宅して暖房を入れた時には、なかなか暖まらないという欠点があります。厳しい防火基準への対応も必要で、内断熱に比べて1割ほど工事費が高くつくため普及しにくい側面があります。

マンションに永住志向の方上質な快適さを求める傾向から、今後は外断熱の物件が増えていくことも予想されますが、価格と効果を比べて選択する目を持つことが必要とされます。

窓の断熱はペアガラスで

窓から逃げる熱も見逃さない部分。ガラスは温度を伝えやすいので、開口部を広くとる傾向がある最近のマンションは、結露が生じやすくなります。

これを解消するために普及しているのが、2枚ガラスの間に空気層を閉じ込めたペアガラス(複層ガラス)。外気温の影響が格段に受けにくくなるため、窓ガラスの結露をシャットアウトする効果があります。夏は涼しく、冬は暖かい住まいを求めるうえで、断熱材とともに窓ガラスは要チェックです。

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