不動産取引ガイド

空地・空き家対策の起爆剤?小規模不動産特定共同事業について

最近では、アイデアのある商品開発に対してクラウドファンディングにより資金調達をするといったケースも耳にしますが、こうした不特定多数から資金を集めるといった手法が注目を集めています。

不動産における資金調達

同じように、不動産の取得・運用について資金を集める方法として、「REIT(リート)」と呼ばれる不動産投資信託の仕組みがあります。

REITにおいては、信託の仕組みが採用されており、証券化された不動産の権利を取得するものになります。

同じように、不動産特定共同事業という仕組みを使った資金調達の方法もあります。

どちらも、一般に投資家を募り、資金を集め、不動産の取得・運用を行い、その利益を配当する、というものになります。

空地・空き家の活用のための小規模資金調達

昨今問題になっている空地・空き家問題ですが、この解決策については多くの議論がなされていますが、既存の方法や枠組みではなかなか前に進まないという状況がありました。

そのため、これまでにない斬新で挑戦的なアイデアの採用が求められ、さらにそのアイデアを実現化するための事業資金の調達方法についても、その方法が模索されていました。

こうした資金調達の方法として、新しいアイデアに対する賛同者として資金提供をしてくれる投資家の存在が求められ、その手法としてREITや不動産特定共同事業の活用が検討もされましたが、REITや不動産特定共同事業を行う事業者には、高い要件が求められる現状がありました。

そこで近年新たに設けられた制度が「小規模不動産特定共同事業」です。

小規模不動産の事業資金調達を円滑に行う

小規模不動産特定共同事業では、1億円を上限とする小規模不動産について、事業者は「許可」ではなく「登録」のみで事業を開始できることとなりました。

これにより、これまでのREITの組成や不動産特定共同事業よりも簡易にそして流動的に事業を開始できることが想定されています。

こうした制度を利用することで、地場の不動産事業者などが、より地元に密着した視点を活用して、その地域や環境に合ったアイデアを事業化できる仕組みの道筋が出来上がったことになります。

地元の潜在的な魅力ある物件について、プランを立て、小口からでも事業資金を集めることで、細かな空地・空き家のニーズを掘り起こすことが期待されています。

これから進むと言われている人口減少、家余りの社会においては、こうした小さなニーズや特殊な条件の需要に対して対応できる不動産活用が求められていくかもしれません。

そしてこうした活用方法の検討以前に重要になるのは、そもそも潜在的な需要があるエリアにおける不動産であるか否かです。

もしお持ちの不動産について、活用方法や処分方法にお困りの場合には、一度専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

耐震性を軽視していませんか?<木造賃貸・民泊編>前のページ

マイホーム 「消費」としての考え方と「資産」としての考え方次のページ

ピックアップ記事

  1. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  2. 立地適正化計画をご存知ですか?
  3. 危険な場所は 地形図で見分ける
  4. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?
  5. 住宅購入と 生涯の資金計画

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    終活「しゅうかつ」という言葉を耳にする機会が増えました。

    皆さんは「終活」をご存知ですか?まだ馴染みのない言葉ではありますが…

  2. 不動産取引ガイド

    快適な暮らしは家が作るのではない

    今日は「BEAMS at HOME」という本を紹介します。分厚いわ…

  3. 不動産取引ガイド

    越境トラブルと注意点

    塀や庇、雨樋の越境隣地境界とのトラブルの1つに「越境」問題がありま…

  4. 不動産取引ガイド

    どうなる今後のマンション価格!?物件価格と金利の影響についても

    ・マンション価格の中期予測(一財)日本不動産研究所が、東京23…

  5. 不動産取引ガイド

    炎は癒し効果!!

    炎には癒し効果があるのをご存知ですか?大阪ガスのエネルギー技術研究…

  6. 不動産取引ガイド

    介護を考えたリフォーム

    私にはは80歳を超えた両親がいます。現在は同居はしておらず、両親は…

  1. 不動産取引ガイド

    不動産売却時にかかる「譲渡所得税」の注意点
  2. 不動産取引ガイド

    小・中学生から学ぶ、住宅の資産性とエリア選択
  3. 天災・事故等

    下水管の事故にも火災保険って使えるの?
  4. 不動産取引ガイド

    東京都内23区で不動産購入をする事のリスク?!
  5. 不動産取引ガイド

    不動産の2022年問題、大都市部で宅地が大量発生する?!
PAGE TOP