不動産取引ガイド

賃貸のままでいいや 本当に大丈夫ですか?

金利上昇のニュースを見て、これから住宅購入を検討される方は少し不安に思われているかもしれません。
都市部のマンション価格は上昇を続けており、そもそも購入よりも賃貸のままの方が良いのではないかとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
今回は賃貸住宅は贅沢だということについてご説明いたします。

■今の家賃で家が買えます!は事業者のミスリード

ファイナンシャルプランナーの方などが注意喚起していますが、今の家賃で家が買えます!という事業者の謳い文句を鵜呑みにしてはいけません。
購入できるかできないかで言うと、現在時点で支払っている家賃と同額であれば、購入は可能だと思われますし、家計への影響もイメージしやすいので、今の家賃をベースに予算を検討される方は多いです。
そもそも今の家賃が住居費の支出として適切かどうかを検証しなければなりませんし、同一エリア、似たような条件の物件を購入する場合、住宅ローンを組んだ方が月々の支払いが軽くなるのは当たり前で、家賃を意識しすぎるとご自身の収入に見合わない選択をしてしまいがちなのでご注意ください。

■家賃>ローン返済額の理由

大家さんの立場で検討します。
最適な賃料は周辺相場や物件の状態などで判断するのですが、どれだけ不利な状況であっても赤字になるようであれば賃貸は成立しません。
金融機関から融資を受けて物件を購入した場合、大家さんも金利を負担して返済しなければなりません。
この時の金利は事業用のローンなので、住宅ローンに比べるとかなり高い金利となります。
(現金で購入した場合が考えられますが、話がややこしくなるので割愛します)
この返済額が設定家賃の最低値かというとそうではありません。
大家さんは貸し出している物件のメンテナンスを行わなければならないので、設備機器などの交換費用を積み立てる必要があります。
また、1か月も隙間なく人が住み続けることも現実的ではないので、空室リスクを考慮する必要があります。
これらを踏まえて家賃を設定するわけなので、今お住まいの物件と同条件の物件を購入する場合、毎月支払っている家賃よりも、住宅ローンの返済額の方が安くて当たり前なのはご理解いただけると思います。

■毎月の返済額から逆算して借入金額を計算してみる

金融機関のホームページでは、年収から借入可能額を計算する機能のほかに、毎月の返済額から借入額を計算するシミュレーションが提供されていますので、試しに現在支払っている賃料で35年借りた場合、どれくらいの金額になるか確認してみてください。
「思ったよりも多くの金額が借りられる」という印象になると思います。
続いて今住んでいるエリアの売り出し情報を確認してみてください。全く手が出ないという印象にはならないはずです。
先ほどの説明で、家賃よりも住宅ローンの返済額の方が少なくて当たり前と記載しましたが、同じエリアで似たような条件だと余裕で購入できるケースが多いため、家賃から逆算した借入額に見合うエリアを検討したり、予算に余裕があると判断して新築を検討したりするのが、冒頭に記載した事業者によるミスリードです。
身の丈に合わない物件に手を出して、ローンの返済で苦労する事例は、購入予算に対する甘い見通しが原因だったりします。

■賃貸VS購入はナンセンスな問いかけ

youtubeなどでも話題になる賃貸VS購入ですが、非常にナンセンスな話題だと思います。
今回は趣旨が異なるので詳細は省きますが、こういった記事では金額のシミュレーションが掲載されていることが多いので、賃貸と購入の費用の比較の際に、購入した物件の売却が検討されていない記事はあまり信用しない方が良いです。条件がイーブンではないので、読むに値しない記事と言えます。
賃貸に住み続けるという選択は、住居費を消費し続けるという選択です。
住宅購入時のローン返済額と家賃を比較する方が多いのですが、ローンの返済はあくまで返済なので、住宅という資産は残ります。
他方で家賃を支払い続けても残るものはありません。
大家さんは賃貸経営が回れば、ローンも返済できて、住宅という資産も得ることができます。乱暴な言い方をすると、賃貸に住み続けるということは、大家さんを儲けさせるだけ、とも言えます。
住宅購入が可能な方はなるべく早く購入した方が良い、賃貸に住み続けるというのは贅沢な選択だと思います。

1点注意があります。ここでお勧めする住宅購入というのは、将来売ることのできる住宅購入であり、なるべく資産価値が目減りしにくい住宅購入を指します。
車があれば大丈夫と安易に郊外を選択したり、思ったよりも住宅ローンが組めそうだということで新築に手を出したりするのは、資産価値が目減りしやすい選択です。
こういう家の買い方をすると、ローン返済に困って一家離散、家を失って借金が残るといった、ニュースで良く見る事例になる恐れがあります。(ニュースで良く見るローン破産の事例は新築住宅の例が多いですね)

住宅購入の考え方についてはアパホテルの元谷芙美子さんの対談記事が面白かったです。

アパ社長「みんな“自分がほしいとき”に家を買うから、お金が集まってこないんや」
https://r25.jp/article/660771636254674304

住宅購入は人生の一大イベントですが、将来のことを考えると自己都合の追及は最適な判断とは言えません。
自分にとって100点満点を目指すのではなく、他人が見ても60点、自分にとっても60点という視点が大切になります。
「まだ賃貸でいいや」は長い目で見るとマイナスの判断にもなり得ます。
まずは最適なローン返済額や現実的な購入予算を検討し、購入に適したエリア探しから動き始めるのはいかがでしょうか。

後悔しない内装にするためには⁉前のページ

限られた予算でも理想の住まいを! 妥協せず購入するポイントと戦略次のページ

ピックアップ記事

  1. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  2. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  3. 住宅購入は不安でいっぱい
  4. 住宅購入と 生涯の資金計画
  5. 立地適正化計画をご存知ですか?

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    危険な場所は、地形図で見分ける!

    昨今、自然災害が相次いでいる。水害や土砂災害等は、地形からある程度推定…

  2. 不動産取引ガイド

    相続税、専業主婦の奥様は気をつけて!

    おはようございます。リニュアル仲介の渡辺です。今回は相続税につ…

  3. 不動産取引ガイド

    夏の怖い結露の話

    私を含め家族の大半がなんらしかのアレルギーを持っています。結露は、…

  4. 不動産取引ガイド

    マンション建て替えしやすく 所有者合意2/3に変更される予定です!

    昨年の12月27日(日)の日本経済新聞の朝刊にも出ていましたが、国土交…

  5. 不動産取引ガイド

    防火地域と準防火地域って何が違うのかご存知ですか?

    防火地域・準防火地域とは、市街地に火災が拡がるのを抑えるために、都市計…

  6. 不動産取引ガイド

    価格交渉は何がポイントになるのか?

    内見をいくつか重ねていき、いよいよ「購入しても良いかも・・」という物件…

  1. 不動産取引ガイド

    コロナ禍が住宅業界に与えた変化。
  2. 不動産取引ガイド

    コロナ禍の不動産売却査定(AI評価)!『全国マンションデータベース』で見えてくる…
  3. 不動産取引ガイド

    住宅ローン変動金利の5年ルールと125%ルールとは?
  4. お金・ローン・税金

    金利だけでの比較は禁物!住宅ローンの選び方。
  5. 不動産取引ガイド

    家建てロボット登場。4~6週間の工程が2日に短縮!
PAGE TOP