中古住宅を検討する際に欠かせないのがリフォームです。クロスの貼り換えなどお色直し的な最低限のリフォームから間取り変更を含む大掛かりなものまで予算にあわせてリフォーム内容を様々検討できるのが中古住宅購入のメリットの一つと言えます。
リフォームは将来の売却価格に影響するのか?というお問い合わせをよく頂くので、今回はリフォームについてご説明いたします。
■自分のためのリフォームは売却価格にあまり影響しない
中古住宅を購入してご自身が快適に住むためのリフォームは基本的には将来の売却価格には影響を及ぼしません。
例えば最新かつ最上級モデルのシステムキッチンを入れたとします。5年くらいで売却するのであれば価値を感じる方がいるかもしれませんが、10年~15年経過してしまうと、当時は最上級モデルだったかもしれませんが、ただの中古のキッチンなので、沁みついた生活感を嫌がって交換されてしまうことの方が多いと思います。
家そのものの耐用年数は技術の向上とともに長くなってきていますが、住宅設備や部分的なリフォームについては想定される耐用年数は思ったよりも短いため、将来高く売るために高級モデルを選択するというのは正しい判断とは言えません。
もちろんご自身が快適に暮らすために選択するのは問題ありません。
今回はキッチンを例に挙げましたが、おおよそ他のリフォームも同じです。ただ例外があります。それは性能向上リフォームと言われるものです。
外壁・屋根の塗装工事などが挙げられますが、ご自身の満足度というよりは、建物全体を維持・保全する目的の工事となりますので、住宅設備などのリフォームとは判断が異なります。
ただ、基本的にリフォーム工事は査定などで価格に反映されることはあまりないので、将来高く売るためにリフォームというのは現実的な判断ではないとご認識ください。
■売却時にリフォームすれば高く売れるのか
中古住宅を売却する際にリフォームを行う方がいらっしゃいます。この売却時のリフォームが非常に判断が難しいところですが、原則としてリフォームは売却価格には影響しないと考えるのが妥当です。
2000万円の物件に150万円のリフォームを実施したとします。この物件がリフォーム金額よりも高い値段で売ることができるか?と言われると、余程の理由がない限り難しいと回答する不動産会社が多いと思います。
購入者側で判断するとわかりやすいかもしれません。2000万円の物件でリフォームに150万円かかるとすると、どうせお金がかかるなら自分で選んだリフォームを実施したいと考えるはずです。
買主にとっても売主にとっても無理に150万円のリフォームを実施するよりか、物件価格から150万円値引きされた方が合理的と言えます。
ただ、売却時のリフォームは例外があります。
一つはリフォームしないと誰も関心を寄せてくれないほど汚い状態の場合です。※ペットを飼育している家やタバコのヤニで汚れている家など
こういう状態の家は綺麗にしないとそもそも買い手が見つからないため、リフォームせざるを得ませんが、その際のリフォーム費用を乗せて売却は難しいので、多くの場合は売主が売却のための費用として支払うケースが多いように思います。
続いての例外は事業者による買取再販です。
買取再販業者は物件を市場価格よりも安く仕入れて、リフォームを実施し、利益を乗せて販売します。
従って表向きには「リフォームする分高く売れる」と見えます。しかし買取再販事業者も周辺の相場を見て販売価格を決めますので、結果的には当初の物件価格+α程度で販売されることになり、リフォームにかかった費用がそのまま販売価格に転嫁されるというよりは、安く仕入れができた分の利益にリフォーム費用が食い込んでしまうケースの方が多いと思います。
■思いっきりリフォームしたい!は少し冷静に
新築注文住宅は高くて手が出せないけれど家づくりを楽しみたい!これから住む空間を快適にしたい!など中古住宅購入時のリフォームは価格には現れない満足度・快適性などの別の価値があります。
私たちは資産価値が下がりにくい住宅購入をお勧めしていますが、資産価値だけに注目して家を買うわけではありません。
皆さんが考えている以上にリフォームで実現できることの幅が広いので、業者と打ち合わせを重ねる度に、つい予算を超えてしまいがちです。
ただ、予算を気にせずリフォームしたところで、100%の満足が得られるわけではありません。
夢が広がって盛り上がる気持ちをグッと抑える意味でも、実施したリフォーム費用は”消費してしまう”ということを忘れずに、冷静に検討する時間を持つことをお勧めします。