不動産取引ガイド

壁式構造とは

建物の構造には、大きく分けて「壁式構造」と「ラーメン構造」の2種類があります。
中古マンションをリノベーションする際には、この違いを知っておくことが重要です。
ここでは、壁式構造の特徴やメリット・デメリットを解説します。

■壁式構造の特徴

壁式構造は、床・天井・4つの壁で建物を支える構造です。
柱や梁はなく、鉄筋コンクリート造の低層マンション(4階以下)に多く採用されています。

・建物を支えているのは壁なので、室内に凹凸がなくスッキリ見える
・間取り図に柱や梁が描かれていなければ壁式構造の可能性が高い
・低層マンションでは高確率で壁式構造

一方で、壁を撤去しにくいためリノベーションには不向きとされています。

■耐震基準との関係

中古マンションは「旧耐震(1981年5月31日以前)」と「新耐震」に分かれます。
壁式構造は旧耐震の建物が多いですが、必ずしも弱いわけではありません。

実際、阪神淡路大震災の際にも被害は少なく、「旧耐震でありながら頑丈」という特徴があります。
ただし、築年数が古すぎる物件は劣化の影響を受けるため、外壁の状態や修繕履歴を確認することが大切です。

■ラーメン構造との違い

・壁式構造:壁(面)で支える/低層マンション向き
・ラーメン構造:柱と梁で支える/5階以上や幅広い建物に対応

耐力壁の有無や、リノベーションの自由度が大きな違いです。

■壁式構造のメリット

・耐震性が高い

耐力壁でしっかり支えるため地震に強い。防音・断熱性にも優れる。

・柱や梁がないため室内がスッキリ

家具配置がしやすく、空間を広く感じられる。

・集合住宅に適している

壁が厚いため生活音が響きにくく、団地やマンションに多く採用されてきた。

■壁式構造のデメリット

・リノベーションに不向き

壁が建物を支えているため撤去が難しく、間取り変更の自由度が低い。

・住宅ローン控除が使えない場合がある

旧耐震の物件は原則対象外。ただし「耐震適合証明書」があれば控除を受けられる場合もある。

・築年数が古いと劣化リスクが高い

外壁のひび割れ、鉄筋のサビ、修繕履歴などをチェックする必要がある。

■まとめ

壁式構造は、低層マンションに多く見られる頑丈な構造です。
リノベーションの自由度は低いものの、防音・耐震性に優れ、快適に暮らせる特徴があります。

マンションを選ぶ際には、

・構造の種類
・築年数と修繕状況
・ローン控除の可否

といった点も確認しながら検討すると安心です。

いかがでしょうか。
マンションの内見の際、建物の構造もチェックしながらお住まい探しの参考になさってください。
リニュアル仲介、渡辺でした。

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