国土交通省による「安心R住宅」という新しい制度が始まります。
12月から事業者団体の登録が始まり、来年4月からは不動産広告で安心R住宅ロゴマークの使用が開始されるスケジュールです。
安心R住宅は安心・安全に取引できる中古住宅を選別するためのラベリングの仕組みです。今回は安心R住宅の基準についてご説明いたします。
中古住宅取引の「不安」「汚い」「わからない」を解消
安心R住宅とは、中古住宅流通の阻害要因である「不安」「汚い」「わからない」といったマイナスイメージを払拭するための仕組みで、国に登録のある事業者団体が定めた基準をクリアした物件について、専用のロゴマークの使用を認める制度です。
建物の性能がわかりにくい中古住宅流通において、基礎的な品質であるものの、物件選択の判断材料が増えることは、これから住宅購入希望者にとってプラスになる制度だと思います。
「不安」の払拭=耐震+瑕疵保険
不安を払拭する定義として、二つの基準が設けられます。この基準はどの団体でも共通です。
一つ目は耐震性です。
新耐震基準(昭和56年6月以降の建築)に適合することが要件となります。
二つ目は劣化の基準です。
広告時点で既存住宅売買瑕疵保険の検査基準に合格することが要件となります。
つまり、安心R住宅のロゴマークが付いている物件は耐震性と瑕疵保険の基準をクリアした物件だと判断することができます。
ここで言う新耐震基準には注意が必要です。
住宅ローン減税で必要となる耐震基準適合証明書を発行するための耐震基準とは異なりますので、安心R住宅のロゴマークがあるからと言ってもれなく耐震基準適合証明書を発行してもらえるとは限りません。
「汚い」の払拭=リフォーム工事
汚いを払拭する基準はリフォーム工事の有無です。
各団体が定めた基準に準じたリフォームが実施される、または基準を満たすリフォームに必要なプランや費用を提示することが要件となります。
個人間売買の場合、売却のために売主がリフォームするのはあまり現実的ではないのですが、リフォームの目安が提示されることでより買主が選択しやすくなると言えます。
「わかりにくい」の払拭=住宅履歴情報の開示
わかりにくいを払拭する基準は住宅履歴情報の有無について情報開示することです。
広告時に書類の有無を表示した「安心R住宅調査報告書」を作成することが要件となります。
新築時の情報だけでなく、これまでのリフォーム履歴や維持管理の記録、瑕疵保険などの履歴も調査対象となります。
これら書類については「あり」「なし」「不明」という選択肢を表示することが要件なので、全部「なし」という安心R住宅も存在し得るのが問題です。
ただ、これから住宅を購入する方にとっても残しておいた方が良い書類が具体的に示されているので、住宅資産の維持・保全の目安としても活用できそうです。
建築士によるインスペクションが大切です
安心R住宅はあくまで基礎的な品質を表すものです。
安心R住宅のロゴマークが付いているからと言って鵜呑みにしてはいけません。
中古住宅、特に戸建て住宅を購入する際には建築士によるインスペクションを実施して、開示された情報の妥当性を冷静に判断する必要があります。
リニュアル仲介では各種基準に詳しい建築士によるインスペクションを手配いたします。
お気軽にご相談ください。