不動産取引ガイド

遺産分割協議ができない!?不動産と行方不明者

不動産の処分に関して、大きな問題となるケースのひとつに「共有状態」があります。

話し合いがまとまらない、というケースが大半ですが、中には、そもそも話し合うべき相手が見つからない!といったケースもあります。

例えば、相続して放置してしまっていた土地を売りたい、というケースです。

相続したまま名義変更をせずに放置していると、相続人の数はネズミ算的に増えていきます。

子供3人が相続人だったけれど、さらに相続が発生し、その孫達が相続人になり・・・

といったように、放置すればするほど相続人の数が増えていきます。

結果、10名以上での話し合い(=遺産分割協議)が必要になってしまうこともあります。

そのような場合でさらに問題となるのが、相続人が見つからない場合です。

相続人の一人が失踪して行方不明となっているような場合です。

遺産分割協議をしようにも、協議をする相手が見つからないのです。

不動産を売却するためには、まず相続手続きをして、名義を変更しなければなりません。

相続したものの持て余していた土地でしたが、偶然購入希望者が見つかったため、慌てて相続手続きをしようと準備を始めた、というケースもままあります。

ところが、相続手続きは、相続人全員の合意がなければ進みません。手続き上も全員の実印と印鑑証明書が必要になります。

しかし、失踪者とは連絡を取ることもできず、生死すら不明の状況ということもあるのです。

頭を抱えたくなってしまう状況ですが、このような場合に利用できる方法が、「不在者財産管理人」制度です。

「不在者財産管理人」制度とは、行方不明者の代わりに手続きを行う管理人を、裁判所に申し立てて選定してもらう手続きです。

この申立てが認められると、「不在者財産管理人」が選任され、この管理人が行方不明者の代わりとなって遺産分割協議書へ署名・捺印をすることになります。

ただし、不在者財産管理人は、あくまでも行方不明者が戻ってくるまでに代わりに財産を管理する人ですので、行方不明者の不利になる行為はできません。

今回のような土地売却では、他の相続人は皆さん放棄をしてくれたとしても、行方不明者の分は放棄してもらうことができないため、その取り分となる現金を管理人に渡すこととなります。

手続き上はこのように解決する方法が準備されていますが、実際には、行方不明者の捜索手続き、不在者財産管理人選任の申立手続き、遺産分割協議の許可申立手続き、売却、と、膨大な手続きと時間・費用がかかってしまいます。

せっかくの不動産売却代金がほぼ手続き費用で消えてしまう、なんてこともあるのです。

不動産は処分手続きが困難になる要因が多く含まれています。

何より「捨てる」という行為ができません。

不動産に関しては、そもそも売却し易い・貸し易い物件を選別する、保有した後もなるべく共有状態を作らない、など、適切な知識が必要となります。

不動産についてお困りのことがありましたら、不動産エージェントにお気軽にご相談ください。

***************************************************

■不動産の資産価値を即座に判断

セルフインスペクションアプリ「SelFin」

https://self-in.com/ (ご利用は無料です)

**************************************************

2018年住まいのトレンドは育住近接!?前のページ

住宅購入と 生涯の資金計画次のページ

ピックアップ記事

  1. 住宅購入は不安でいっぱい
  2. 立地適正化計画をご存知ですか?
  3. 土地価格の相場を知る方法
  4. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?
  5. 買ってはいけない物件を自分でチェック

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    相続登記申請の義務化

    我が家は数年前に主人の父が他界し3人の子供同士で相続による遺産分割協議…

  2. 不動産取引ガイド

    自宅マンションの売却、手続きや注意すべきポイントについて

    都市部を中心に住宅価格が上昇するなか、自宅マンションの売却を考える人が…

  3. 不動産取引ガイド

    羽ばたくお金!!

    4月1日には平成に代わる新しい元号を「令和」と決定されましたが、本日は…

  4. 不動産取引ガイド

    2021年5月度の不動産相場

    公益財団法人東日本不動産流通機構(通称:東日本レインズ)から、2021…

  5. 不動産取引ガイド

    空き家活用が本格始動!放置空き家を減らす動きも必要?!

    全国の自治体が空き家対策に力を入れ始めました。高齢化や人口減少で、賃貸…

  6. 不動産取引ガイド

    敷地のセットバックとは?(基礎編)

    建築物の敷地は、原則として建築基準法に定める幅員4m以上の道路に間口が…

  1. 不動産取引ガイド

    中古住宅購入時の確認ポイント
  2. 不動産取引ガイド

    防災の日には
  3. 不動産取引ガイド

    不動産チラシの写真一枚から読み取れるリスク!リニュアル仲介エージェントからのアド…
  4. 不動産取引ガイド

    コールドドラフト現象とは
  5. マンション

    何だか臭う...築浅マンション。臭いの正体は!?
PAGE TOP