不動産取引ガイド

いつまで市内をバスは走る?!住宅購入時に『バス便』は注意が必要?!

■いつまで市内をバスは走る?!(バス便は何時まで続くのか?!)

2020年2月24日(月)の日本経済新聞の朝刊に、『人口減で採算悪化 地方バス、苦肉の路線再編』との記事が出ていました。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO55859150Q0A220C2ML0000/

内容としては、採算が悪化している地方のバス路線の再編が加速しているといった内容でした。鉄道がない過疎地などで路線バスは唯一の公共交通機関となっている為、人口減少社会では利用者の減少が深刻化しているようです。『バス便』という選択そのものが薄らいできているのかもしれません。

それも、一度は民間のバス会社に運行を移譲した路線において、経営が上手くいかず、自治体が引き取ったり、時間帯によって運行区間を短縮したりと「地域の足」を守るために苦肉の策をとる例も目立ってきているようです。

個人的には、バスの自動運転化の普及が先なのか、民間バスの廃止が先なのか、かなり深刻な問題だと考えています。

ちなみに、さいたま市は下記HPにあります、自動運転バスの実証実験が行われていたりします。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/list/201909/CK2019090402000147.html

■広島県呉市のバス便事情について

ちなみに、広島県呉市は2019年10月、市中心部と郊外を結ぶバス路線のうち不採算の7区間の運行を広島電鉄(広電)から引き継いだようです。もとは市が運行していたようですが、赤字続きで2012年に広島電鉄に路線を移譲されたようです。実質赤字でも2%の利益が出るよう市が補助金を出していましたが、営業不振に加え人手不足で運転手を確保できず、再び呉市がバスを走らせることになったようです。

私は何度か呉市に行っていますが、呉市の住宅事情を考慮すると、かなりの密集地に多くの高齢者が住んでいますので、バスが無くなるとかなり困る人が増えると思います。収益悪化が著しい区間では車両を小型化し、運行本数を減らすなどして路線を維持する方針を呉市は出されているようですが、このような対処療法では、いつか限界が来てしまいます。

また、同じく昨年10月にバス路線を再編した北海道釧路市では、釧路駅前から郊外に延びていた路線網を見直し、駅から約7キロ離れた「イオン釧路昭和店」を発着拠点に変更する事で路線が復活しつつあるエリアもあるようです。

■全国で路線バスを運行する自治体や企業計240事業者の7割にあたる171事業者が赤字

ちなみに、国土交通省によると、全国で路線バスを運行する自治体や企業計240事業者(30台以上保有)の2018年度の損益は380億円の赤字で、前年度より赤字幅が40億円も拡大しているようです。それも全国で路線バスを運行する自治体や企業計240事業者の7割にあたる171事業者が赤字だったようです。つまりは地方の路線バスは公営・民営を問わず採算が急速に悪化しており、不採算路線の縮小・廃止などの再編を迫られている状況です。

路線再編には運行廃止がつきものと言われますが、住宅購入後に『バス便』が廃止されたら、多くの方は困ってしまうと思います。その為、これからの住宅購入時には『バス便』という選択にはかなり気を使わなければなりません。またあくまでも一つのケースではありますが、バス便のエリアは、不動産の資産価値の観点から、値段が下がりやすいエリアが多いかと思います。

勿論、資産価値だけで不動産をお選びにはならないかと思いますが、今後の人口減・家余り社会に突入すると、不動産を処分する事もしにくくなってしまいます。

時々、エリア的に『車社会だから』と言って、車の移動やバス便を許容する方を見ます。勿論、今後、自動運転技術が発達したり、自動運転バスの普及により、エリア的に不便な場所でも生活ができるようになるかもしれません。

しかし、これから不動産購入をされる方で『バス便』を選択される方にはかなりご注意いただきたいと思います。

可能な範囲で、不動産を所有するには、『いつでも貸せたり、売れる不動産』をおススメしています。

ぜひ、今後の住宅購入の参考にお役立て下さい。

法人営業部 犬木 裕

床上浸水した時の対処法前のページ

半地下車庫のメリットとデメリット次のページ

ピックアップ記事

  1. 立地適正化計画をご存知ですか?
  2. 住宅購入は不安でいっぱい
  3. 危険な場所は 地形図で見分ける
  4. 住宅購入と 生涯の資金計画
  5. 買ってはいけない物件を自分でチェック

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    マンション購入前に必ずチェック!修繕計画で見極める住まいの質

    マンションを購入する際、多くの方が立地や価格、間取りなどに注目しますが…

  2. 不動産取引ガイド

    東京都の地震危険度ランキング あなたの地域は大丈夫!?

    前回、住宅購入する前には、各市区町村で発表しているハザードマップをご確…

  3. 不動産取引ガイド

    「住宅ローン減税/築後年数要件」認知度調査 ~築後年数要件を知らない約4割~

    この度、物件提案ロボユーザーを対象としたアンケートについてプレスリリー…

  4. 不動産取引ガイド

    2020 年6月度の不動産相場

    公益財団法人東日本不動産流通機構(通称:東日本レインズ)から、2020…

  5. 不動産取引ガイド

    中古住宅購入時にされるリフォーム人気箇所と注意点

    中古住宅購入時にリフォームされる人気箇所、そして注意点等を今回はお伝え…

  6. 不動産取引ガイド

    「盛土」と「切土」の注意点

    日本の国土は、山間部が多いため、もともと平坦なところばかりではなく、傾…

  1. 不動産取引ガイド

    不動産購入前に気に掛けたい3つのこと <Part(1)>
  2. お金・ローン・税金

    【前編】「マンションならではの2つの問題!?」既存住宅売買瑕疵(かし)保険の種類…
  3. 不動産取引ガイド

    建築士は罰則規定が背景にある職種です。
  4. 不動産取引ガイド

    内見時、部屋を見るより重要なこと!?本部エージェントの現場レポート≪中古戸建て編…
  5. 不動産取引ガイド

    管理組合の取り組みが注目される時代に
PAGE TOP