マンションが日本で本格的に供給されて50年以上が経過したようです。またマンションストック戸数は約655万戸に達し、都市部の主要な居住形態として人口の一割以上が居住しています。首都圏では新築マンションの成約数より、中古マンションの成約件数の方が多くなり、永住を考える居住者も増えていることから、マンション管理の適正化が求められているようです。
〇マンションの財政健全化が課題となっている
今、マンションには約1,500万人が暮らしています。「平成30年度マンション総合調査」によると、かつては住人へのアンケートを実施すると「いずれ住み替えるつもり」という意識の居住者が過半数を占めていましたが、2018年度の調査では約63%が永住を希望されているという結果だったようです。
また、マンション居住者の70歳以上の割合も増え続けており、築40年以上のマンションは現在81.4万戸、10年後には195万戸、20年後には366万戸になるという課題もあります。
その為、マンションを取り巻く環境や状況が変化していく中、快適に住み続けられるようにする為、適正な管理が求められています。
〇マンション管理とはどのような事を行っている?!
マンションの共用部や敷地の管理は、各マンションの居住者が協議の上、管理組合をつくり、長期視点で立案した計画に従って居住者から管理費を集めた資金により、管理会社を選定し、その会社が管理を受託・代行するパターンが一般的です。新築や築年の浅いマンションではIT化しており管理も複雑になってきているようです。
マンション管理で基本となるのが共用部の長期修繕計画とそれに向けた修繕積立金の調整。築年数が浅いうちは当初計画通りの積立金で賄えたが、築年数を重ねると経年劣化が進み、修繕費が想定通りに賄えず、積立金不足となり、増額になるケースが多いです。
近年、気候変動の影響により、災害対策等も踏まえた長期計画の策定や見直しも増えているようです。
マンション総合調査では2018年に長期修繕計画を作成している管理組合の割合は90.9%と非常に高い割合ですが、計画期間25年以上の長期修繕計画に基づいて長期修繕積立金を設定しているマンションの割合は54%にとどまるようです。
結果、現在の長期修繕積立金の額が計画に対して不足しているマンションは約35%あり、社会資本としてのマンション価値の維持・向上、暮らしの安心・安全のためにも、管理組合の財政健全化が課題となっているようです。
〇「マンションは管理を買う」という表現もありますので・・・。
マンションを購入する際、管理状態は最後の重要事項説明で知らされ、購入の判断材料になっていないケースが指摘されています。これからは管理状態を分かりやすく示して市場が価値を決められるような仕組み作りが現在、水面下で進んでいるようです。
管理の質が価格に反映されれば、リセールバリューやリバースモーゲージの利用の際にも有利に働く事が考えられます。「マンションは管理を買う」という言葉もありますので、不動産購入時の参考にしていただければ幸いです。
法人営業部 犬木 裕