不動産取引ガイド

人生100年の住宅購入術 戸建て住宅の修繕費はどれくらい掛かるのか?!

〇一般的な戸建て住宅で築後30年の建物は修繕費がどれくらい掛かるか?!

現在、日本の高齢者世帯の持ち家比率は8割を超えると言われています。そのような状況下で最近、高齢者が住宅の修繕などをおこなう事が出来ないといった問題が発生しているようです。その理由として、住む人が年齢を重ねれば自宅も老朽化し、修繕などで重い費用がのしかかり、その費用の捻出は年金の切り崩し等の問題から、修繕する事を躊躇される方が多いようです。

ちなみに、一般的な戸建て住宅で築後30年の建物は修繕費がどれくらい掛かるかご存じでしょうか?

答えは、一般的な戸建て住宅(延べ床面積116m2、木造2階)の築後30年間の修繕費は合計で850万円超に上るようです。

重要ポイントは修繕費が必要となり、その費用が増え始めるのは築年数が一定程度過ぎてからという点です。その為、住宅購入後はすぐに修繕費はほとんど掛かりませんが、自分の年齢とともに、修繕費用が大きくなることが考えられますので、定年後も住宅ローンを支払い続けなければならない方は注意が必要です。

〇戸建て住宅の修繕すべきタイミングの目安について

一般的には、戸建て住宅なら築15~20年で屋根・外壁の補修、築30年で給排水管の更新が必要になり、そのたびに数十万円から百万円前後かかる例は少なくありません。居住が40~50年と延びれば、費用はさらに増えるという訳です。

分譲マンションも築35年程度から給排水管や機械式駐車場の更新といった大規模な工事が続くのが一般的であり、分譲マンションは通常、長期修繕計画に基づいて費用を積み立ててはいますが、いざ工事になると見積費用が計画を上回る例は珍しくありません。積み立て不足なら臨時徴収か、管理組合で融資を受けるかの選択が考えられますが、いずれも所有者の負担が増える事にはかわりません。

過去に「マンションの修繕積立金、75%が足りず 高齢化により増額が難しい?!」といった記事を書いていますので、ご興味のある方はご覧になってみてください。

https://smile.re-agent.info/blog/?p=5734

〇住み続けるVS住み替える?!

上記のように同じ家に住み続けるコストが850万円以上も掛かるようなら、住み替えはどうだろうかと考える方もいると思います。その場合は、必ず、移動コストもかかる事を考えて、ご判断いただく必要がありそうです。また、住み替えの場合は住宅ローンの問題が発生します。つまり先立つものは「お金」という事です。高齢者が家を買い替えるとき住宅ローンは借りにくさが生じます。多くの住宅ローンは申込上限が65~70歳程度となっており、仮に借りられても完済は80歳程度までとするケースが多いです。65歳のとき15年返済で3000万円を金利1.0%で借りると、毎月の返済額は18万円弱の計算になります。賃貸物件に入居できても毎月の家賃負担に加え、契約更新期に値上げとなる可能性もある為、高齢者にとってはかなりの負担となりそうです。

高齢者の場合、多くの人は公的年金が収入の中心で、貯蓄など資産を取り崩す生活に入られれる方が非常に多いです。老後の資金プランで生活費や医療費などをまず考える人が多いため、住居費は見落とされやすいようです。特に戸建て住宅を購入される方の場合、マンションと違って修繕積立金はありませんが、定期的に修繕費用を準備する事を忘れないようにして欲しいと思います。早めに修繕資金を手当てし、住まいの価値を少しでも保つ事、安心安全な住宅にはそれなりのコストが掛かることを忘れないようにしてほしいと思います。

法人営業部 犬木 裕

水道の埋設管についての確認ポイント前のページ

本当の価値を見極める ~不整形地の資産価値~次のページ

ピックアップ記事

  1. 立地適正化計画をご存知ですか?
  2. 土地価格の相場を知る方法
  3. 住宅購入は不安でいっぱい
  4. 危険な場所は 地形図で見分ける
  5. 住宅購入と 生涯の資金計画

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    売れない住宅にしないために ~権利編~

    各方面で、「空き家問題」が大きく取り上げられています。空き家が…

  2. 不動産取引ガイド

    どうなる今後のマンション価格!?物件価格と金利の影響についても

    ・マンション価格の中期予測(一財)日本不動産研究所が、東京23…

  3. 不動産取引ガイド

    赤字ローカル線に廃線圧力 その地域の不動産の資産価値は・・・

    現在、人口減少社会を迎え、赤字ローカル線に廃線圧力が強まっています。J…

  4. 不動産取引ガイド

    空き家問題…

    空き家問題は最近ではニュースで目にする事も増えているかと思います。…

  5. 不動産取引ガイド

    海外赴任者 帰任に備えた日本の家探し 9 【事前準備~売買契約締結 編 7/9】

    前回に引き続き「STEP 4 『商談開始(=買付申込)から売買契約締結…

  1. 不動産取引ガイド

    空き家問題について
  2. 不動産取引ガイド

    ハザードマップの活用法
  3. 不動産取引ガイド

    謄本の『地目』
  4. 不動産取引ガイド

    気になるエリアの「水災等地」を調べてみませんか?
  5. 不動産取引ガイド

    「住生活基本計画」をご存知ですか?!不動産購入時に日本の住宅政策を把握してみる?…
PAGE TOP