不動産取引ガイド

敷地境界にブロック塀がある場合の注意点(その①)

戸建てを買おうとした住宅の敷地と隣地との境界にコンクリートブロック塀があるということはよくあることです。

特に何も気にしない人も多いですが、このブロック塀にはちょっとしたリスクもあるため、住宅購入時のチェックポイントの1つとして考えておきましょう。

■まず、ブロック塀のリスク
【ブロック塀は倒壊しやすい】
ブロック塀はその構造・仕様などの条件によっては、倒壊しやすく危険です。全てのブロック塀が危険だというわけではなく、構造や仕様などの条件によります。

ブロック塀が倒壊したときの被害が大きい】
コンクリートブロック塀はなかなか重量があります。倒壊したときには、住宅の外壁や基礎に衝突して建物を傷めてしまう可能性もあります。新築住宅であっても、境界にあるブロック塀は古いままであることも多く、注意して購入判断しましょう。

地震のときにブロック塀が倒壊した事例は多いですが、ブロック塀の構造や仕様、劣化状態によっては倒壊する可能性がありますので注意が必要です。

【防犯上の問題】
ブロック塀の高さが高すぎる場合、防犯上の問題があります。泥棒は、敷地内に侵入後に敷地外から内部が見えづらい環境を好みます。高い塀がある方が侵入の妨げになるのでよいと考えるのは誤りですから、高いブロック塀のデメリットとして認識しておきましょう。

それでは、住宅購入時に確認しておきたいブロック塀のチェックポイントや注意点をあげます。

■ブロック塀のチェックポイント
コンクリートブロック塀については、建築基準法の施行令において規制があります。その内容の要点は下記の通り。

  • 高さは1.2m以下(但し、以下の条件を満たせば2.2m以下でもOK)
  • 壁の厚さは15cm以上(但し、高さ2m以下なら10cmでもOK)
  • 径が9mm以上の鉄筋を使う
  • 壁内の鉄筋のピッチは80cm以下
  • 塀の長さ3.4m以下の間隔で控壁を設ける(塀高さが1.2mを超えるとき)

残念ながら全てのブロック塀が上記の規定通りになっているわけではありませんので、買主としては確認しておきたい項目です。

【ブロック塀の高さ・鉄筋・基礎・控壁】

原則的には高さは1.2m以下とされていますが、条件付きで2.2mまでの高さが認められています。安全性を考慮すれば、1.2m以下が好ましいでしょう。

 大事なチェックポイントとしては、鉄筋が使用されているかどうかです。塀の内部に鉄筋を配していないブロック塀もありますが、倒壊リスクが高まります。

 鉄筋のないブロック塀と同じぐらい怖いのは基礎のないブロック塀です。地中にブロック塀を指しているように設置し、積み上げているケースがあります。高さが低くても(例えば1mであっても)倒壊するリスクが高いですから注意したいです。

 ブロック塀の長さが3.4m以内ごとに控壁を設けなければなりません。控壁とはブロック塀に対して垂直方向に設けられる壁です。

 ■ブロック塀とフェンスの組み合わせ

最近の新築住宅では、隣地との境界に高さ1.2m程度やそれ以上の高さのブロック塀を構築することはほとんどありません。冒頭で記載したようなリスクがあるため、ブロック塀は不動産会社としても好んで選択することはありません。

 代わりによく見られるのは、低いブロックとフェンスの組み合わせです。たとえば、2~4段程度のブロック塀の上にフェンスを設置するものです。

 

これであれば、見通しが良くて防犯上のメリットがあり、さらにフェンスが軽いため倒壊リスクが低く、倒壊しても被害はそれほど大きくなりません。また、狭小地の住宅同士であれば、境界に1段か2段のブロックだけとしてフェンスも設置しないことがあります。

 

次回は、ブロック塀やフェンスなどがある場合に確認しておかなければならない、塀の所有権がどちらにあるのか、そしてその場合劣化した時の取り替えや修復費用などはどちらが負担するかといったことについて述べます。

 バイヤーズエージェント 中田でした。

***************************************************

■不動産の資産価値を即座に判断

セルフインスペクションアプリ「SelFin」

https://self-in.com/(ご利用は無料です)
■資産となる家を真剣に考えるセミナー

http://www.rchukai.com/#!seminar/c1vy0

***************************************************

 

 

相続人がいなくても不動産は売れる!(困難事例編)前のページ

本日は立春!次のページ

ピックアップ記事

  1. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?
  2. 危険な場所は 地形図で見分ける
  3. 住宅購入は不安でいっぱい
  4. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  5. 買ってはいけない物件を自分でチェック

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    戸建住宅を購入する前に、修繕費はいくらぐらい必要?!

    ■戸建て住宅は築15年頃から修繕が必要となる?!戸建て住宅を購入し…

  2. 不動産取引ガイド

    フルフラットキッチンとは⁉

    フルフラットキッチンとは、シンクや調理台・キッチンカウンターがすべてフ…

  3. 不動産取引ガイド

    帰任に備えた海外赴任者 日本の家探し 5 【事前準備~売買契約締結 編 3/9】

    「海外赴任者 帰任に備えた日本の家探し」シリーズ。今回は、実際に物件を…

  4. 不動産取引ガイド

    日本版CCRCとは!?

    FPの雑誌に人生100年時代に向けてエコノミストに聞くこれからの経済展…

  5. 不動産取引ガイド

    安心R住宅ってご存知ですか?

    本年夏にもスタートする予定の「安心R住宅制度」。初めて目にした方も多い…

  6. 不動産取引ガイド

    中古戸建てのインスペクションは改修工事を前提に

    改正宅建業法の施行から半年。中古取引におけるインスペクションも徐々…

  1. 不動産取引ガイド

    競売物件って簡単に購入できるの?
  2. 欠陥・トラブル

    相続人がいなくても不動産は売れる!
  3. 不動産取引ガイド

    不動産取得税の注意点
  4. 不動産取引ガイド

    AI住宅・スマートハウス・スマートホームの違い
  5. 不動産取引ガイド

    物件探しの初期段階で行うべき、住宅ローン事前審査について!審査のタイミングをご存…
PAGE TOP