在宅勤務のスタイルも一般化しつつある。自宅で過ごす時間が長くなると、今まであまり気づかなかったこと、気にならなかったことが悩みのひとつになるケースが出てきているようです。
本日は、外からマンションの室内へ届く音についてお話しします。
経路としては、窓と外壁、そして換気口などの隙間があります。
外からの音を遮るためには、外壁を厚くするほか、窓や壁の隙間をなくして気密性を高めることが対策となります。
窓のサッシは、JISで遮音等級が定められています。
「T値」として、等級なしと1~4までの5つの等級で示され、数値が大きいほど遮音性も高くなり、外部からの音を和らげます。駅や繁華街が近い場合は遮音等級「T-1」以上、幹線道路や線路沿いは「T-2」以上、できれば「T-3」のサッシがよいでしょう。
サッシの遮音性能と仕様(出典:JIS A 4706-2000(サッシ)にサッシの仕様を加えて作成)
窓ガラス自体が防音仕様とされている場合もあります。通常の窓ガラスは厚さが3mmの単板ですが、防音仕様の場合は厚さを5mmや8mmとして重くする、または2枚のガラスの間に緩衝材のシートを挟んで音を伝えにくくするタイプなどがあります。
既存のアルミサッシの内側に取り付ける樹脂製の二重サッシは、防音の効果が高まります。断熱効果も高まるのでリフォームの際に採用する場合は多く、新築分譲マンションでも取り入れられている物件があります。中古住宅でしたら、この内側につけるサッシを取り付けるのが費用対効果が高いと思います。
また、共有廊下からの音が、外壁を通して居室に伝わってくるケースもあります。共用階段が鉄骨と鉄板でできていて住戸の近くにあれば、靴の種類や上り下りの仕方によっては足音が響いてくるのです。共用廊下側の居室は寝室とすることも多いため、足音や声は特に気になるでしょう。
廊下が外部に開放された「外廊下」か、建物内に取り込まれた「内廊下」かによって室内に届く音は異なりますし、玄関ドアの素材や厚みなどによっても変わります。
さらには室内の換気のために外壁に設けられている給気口や換気口も、音の経路となりますので気を付けましょう。
防音フードや消音ボックスなど、音を低減する製品を用いるマンションもあります。
その他、防音カーテンというのもあります。厚手のカーテンで、遮光性能を併せ持つものが多いです。窓全体から室内へ伝わってくる騒音を多少でも和らげることが出来るかもしれません。
テレワークで家に長い時間いることになった昨今、いままで気づかなかった音が急に気になり始めます。
音への感覚も人それぞれです。自分や家族の個性や現在の状況に応じて、音に関わるマンションの造りをされているかをチェックしておきましょう。
特に幹線道路沿い、線路沿いの物件は、そういった視点も踏まえて内見されてはいかがでしょうか。