スマートフォンなどを外出先でも充電できるモバイルバッテリー。これらの製品に使用されている「リチウムイオン電池」が原因の火災が増えています。急速に普及しているモバイルバッテリーは、安価で手軽なものや大容量で高出力のものなどがあります。火災事故となるような製品の状態や兆候などを知り、発火による火災事故を未然に防ぎましょう。
モバイルバッテリーが出火原因に
スマートフォンやタブレット端末、ノートパソコンなどは繰り返し充電して使用することが多い製品です。これらの製品を外出先などで使用するために、充電用のモバイルバッテリーを使用されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。モバイルバッテリーの多くは「リチウムイオン電池」を内蔵しています。ニッケルカドミウム電池やニッケル水素電池などと比べて、リチウムイオン電池は、大容量、高出力、軽量という特徴があります。このリチウムイオン電池の中には燃えやすい液体が入っていることもあり、発火リスクが特に高いと言われています。
東京消防庁管内で、2020年中にリチウムイオン電池関連から出火した火災は105件ありました。年々増加しており、過去5年間でもっとも多くなっています。出火原因を製品用途別でみると、モバイルバッテリーが20件、スマートフォンなどの携帯電話機も20件ありました。
発生した火災105件のうち、49件は製品の誤った使用方法によるものです。「充電方法を誤った」「非純正品のバッテリーを使用していた」「分解しようとして外部から衝撃を与えた」「誤って穴をあけた」などの原因がありました。リチウムイオン電池関連の製品から出火する火災は、このように誤った使用方法などが原因で出火するおそれがあるため注意が必要です。
モバイルバッテリーをはじめ、充電式のバッテリーを内蔵した製品は、何度も繰り返し充電するため、どうしても取り扱いが雑になりがちです。正しい使用方法で丁寧に扱うようにしましょう。
事故前の兆候とは? モバイルバッテリーの状態に注意
東京消防庁によると、これまでのモバイルバッテリーによる火災事例から、主な出火の原因がまとめられています。
<出火前にみられた特徴的な兆候>
●内部から膨張や変形していた
●充電しても満充電にならない
●動作不良を起こしていた
●充電中の異音や悪臭がしていた
<出火前にしていた行動>
●水没しても使用
●高温の場所に長時間放置
●接触不良のまま使用
●強い衝撃を与えた
モバイルバッテリーなど、リチウムイオン電池関連製品による火災を防ぐために、以下のようなポイントに注意しましょう。
- 購入する際は、電気製品が安全性を満たしていることを示す「PSEマーク」が付いている製品にしましょう。また、モバイル機器の安全性向上に取り組む団体(MCPC)が取り組む評価試験に合格した製品には「MCPCマーク」が表示され、安全な製品を見極める目安となります。
●機器を購入した時に付属されている充電器や、メーカー指定の物を使用しましょう。
●接続部が合致するからといって、充電電圧を確認せずに使用するのはやめましょう。
●膨張、異音、異臭などの異常が生じたものを使用するのはやめましょう。
●充電が最後までできない、使用時間が短くなった、充電中に熱くなるなどの異常があった際には使用をやめて、メーカーや販売店に相談しましょう。
外出先などで充電に使うモバイルバッテリー。誤った使い方などをすると、発火して火災の原因となるおそれがあります。便利である反面、使い方を誤るととても危険なものにもなり得るため、使用する際には正しく取り扱うことが大切です。しかし、どれだけ注意して使用していても、思わぬことが出火の原因となってしまうかもしれません。万が一の「備え」もこの機会に見直してみてはいかがでしょうか。
リニュアル仲介、前田でした。