不動産取引ガイド

事故物件とは?孤独死は告知義務があるのか?!

不動産の購入や賃貸を検討する際、「事故物件」という言葉を耳にされたことがあるのではないでしょうか。
火災、事故、自殺などが発生した不動産は一般的に「事故物件」と呼ばれ、多くの人が敬遠しがちです。
こうした物件の情報は、「大島てる」という事故物件公示サイト(https://www.oshimaland.co.jp/)で公開されており、過去の事故や事件の詳細を確認することができます。
負のイメージが付いた不動産は、市場では敬遠される傾向にあり、資産価値も低くなりがちです。

■そもそも、心理的瑕疵とは何か?

事故物件のように、その物件内で事故や事件があったという事実は、法律用語で「心理的瑕疵(かし)」と呼ばれます。
「瑕疵」とは「傷や欠点・欠陥」を意味する言葉です。
不動産事業者には、対象物件に心理的瑕疵がある場合、買主や借主に対して説明する法的義務があります。
しかし、長年にわたり、どのような事故をどの程度の期間まで説明すべきかについて、明確な基準は存在しませんでした。
実際に、20年前の事故について説明義務の有無が争われた裁判事例もあるほどです。

■人の死の告知に関する国土交通省のガイドラインについて

こうした状況を受け、2021年10月、国土交通省は「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました。
このガイドラインは、不動産取引における告知のあり方について、初めて統一的な指針を示したものとして注目を集めました。
ガイドラインでは、告知が必要なケースと不要なケースが明確化されています。
例えば、自然死や日常生活の中での不慮の死(転倒事故、入浴中の溺死など)については、原則として告知義務はないとされました。
ただし、特殊清掃が必要になった場合や、長期間発見されなかった場合などは例外として告知が必要とされています。
賃貸の場合、事件性のある死亡(他殺、自殺など)については、発生から概ね3年間は告知が必要とされる一方、それ以降は個別の判断に委ねられます。
売買の場合は期間に関わらず告知が推奨されています。

■現在、社会問題化している孤独死の取り扱いについて

特に議論となっているのが「孤独死」の取り扱いです。高齢化社会が進展し、一人暮らしの高齢者が増加する中、自宅での孤独死は社会問題となっています。
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会が取りまとめた「孤独死に係る説明・告知のあり方に係る考え方」では、重要な視点が示されています。
報告書は、「賃貸住宅では、人が居住し生活する以上、そこで『死』という事実が発生することは不可避である」という前提に立ち、高齢社会の進展や自宅で最期を迎えることを希望する人の増加を踏まえれば、賃貸住宅での死は「通常にありうること」として基本的に考えるべきだとしています。
そして、「一人暮らしの者が住宅内で亡くなったという事実のみをもって、ただちに事故物件となるとは考えられない」と明確に述べています。
孤独死があったからといって自動的に事故物件になるわけではなく、発見に至る経緯、遺体の状態、特殊清掃の必要性、後日借主が知り得る可能性などを総合的に考慮すべきとされました。

■自治体の取り組み事例、「孤独死ゼロプロジェクト」

最近では、自治体レベルでも孤独死対策や事故物件の流通促進に向けた取り組みが広がっています。
東京都豊島区では、「孤独死ゼロプロジェクト」を推進し、見守りネットワークの構築に力を入れています。
横浜市では、高齢者の見守りと早期発見体制の整備により、孤独死の長期化を防ぐ試みが行われています。
また、大阪府では、事故物件の適正な流通を促進するため、不動産事業者向けの研修会を定期的に開催し、ガイドラインの周知徹底を図っています。
こうした自治体の取り組みは、事故物件に対する過度な偏見を減らし、適正な不動産取引を促進することを目指しています。

■不動産購入時の注意点と将来への影響

事故物件に対する評価は、個人によって大きく異なります。「全く気にならない」という方もいれば、「絶対に避けたい」という方もいらっしゃいます。
スムーズな不動産取引のためには判断基準が必要ですが、一律に基準を設定し機械的に判断できるものではありません。
特に重要なのは、ご自身が気にならなくても、将来売却を検討する際に価格に影響を与える可能性があるという点です。
賃貸の場合は、自分が気にならなければ問題ありませんが、不動産購入の場合は資産価値の観点からも慎重な判断が求められます。
実際の売買現場では、販売チラシに「告知事項あり」として、前所有者の孤独死などが告知されるケースも増えています。

■賃貸とは違い、不動産購入の際は「将来売れるのか?貸せるのか?」

不動産はあくまでも資産として捉えるべきものです。
物件探しの際は、「将来売れるのか?貸せるのか?」という視点も含めて、総合的にご検討ください。
告知事項のある物件については、その経緯、時期、状況などを十分に確認し、専門家のアドバイスも参考にしながら判断することをお勧めします。
不動産の購入について不明な点や不安な点がありましたら、買主様の立場に寄り添った専門家にご相談されることをお勧めします。今後の参考にお役立てください。

法人営業部 犬木 裕

 

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