人口減と極端な少子高齢化に伴い、空き家問題が顕在化しています。
国や自治体の政策を見ると、高齢者対策、少子化対策に並んで、空き家対策がホットなキーワードになっています。
一次取得者と呼ばれる初めて家を買う人の平均年齢は35歳±5歳と言われています。
この世代の視点で空き家問題を考えてみたいと思います。
「何で親の世代は新築で夢のマイホームを実現したのに、子ども世代の俺たちに中古を押し付けるのか!」と空き家問題を後ろ向きに捉える方も多いかもしれません。
ボロボロになった戸建住宅の取り壊し(強制執行)などがニュースになっており、空き家=ボロ家のイメージが付いているからかもしれません。
今、空き家問題として顕在化している家は、ぱっと見た感じ、近所の家とそんなに変わりない、普通の昭和の家です。そしてもちろんマンションにも空き家問題があります。
ここで視点を変えてみます。
空き家が中古住宅として再活用ができると仮定すると、親の世代が必死になって建てた家を「安く」買うことができる、恵まれた世代とも言えます。
リフォームにお金をかければ、親の世代が建てた家よりも遥かにグレードアップした住環境を実現することもできるのです。
一次取得者から見た親世代の像はどうでしょうか。
今から30年くらい前は住宅ローンは25年が常識でした。バブル期前後で今より土地も高く、ローンの金利も今と比べると遥かに高かったのです。
つまり今より高い家を高い金利で今より短期間で返済しなければなかったのです。
平均年収は今より恵まれた時期でもありましたが、普通の人がマイホームを買おうとすると、都心から遥かに離れたエリアへ行かざるを得なかったのも事実です。
マイホームのために満員電車に揺られて会社まで2時間…そんな通勤風景も一般的でした。
マイホームと住宅ローンに縛られた人生、そう揶揄される世代でもあります。無理をしてでもマイホームにしがみついた世代とも言えます。
今、日本で起きているのは「住宅購入の常識」の転換です。
もはや無理して新築を買わなくても、安全で快適な住環境を得ることは難しくないのです。
そもそも家を買うのに無理をする必要がないのです。
住宅にかかる費用が浮いた分、別の価値にお金を投じることができます。
かつての「マイホームを買ったから節約生活」から、「マイホームを買ったけど、年に1回~2回は海外旅行しています」みたいな生活が簡単に実現できます。
住宅にかかるコストが軽くなったら、買った値段とおなじ価格で売ることができたら、お金の面でかなりハッピーな人生になりそうですね。
そういう買い方が選択できるようになったのがこれから家を買う世代です。恵まれていると思いませんか?
「家といえば新築でしょ」はもはや「団塊の世代」が遺した亡霊のような価値観です。
この亡霊に取り憑かれないように「冷静で当たり前の判断」ができるようになりたいものです。
残念ながら住宅業界は未だにこの亡霊に支配されていて、新築がなければ成り立たない業界から脱することができていません。
旧世代の価値観を押し付けるゾンビの餌食にならないよう、家はなによりもまず「買い方」が大切であることをご理解ください。
リニュアル仲介の稲瀬でした。
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