全国の自治体で住宅や商業、福祉施設などを一定の区域に集める「立地適正化計画」の策定が広がっています。人口減少が加速するなかでコンパクトな街に変え、生活に欠かせない機能を維持する狙いがありますが、拡大志向だった地方都市を縮ませる試みが成功するのでしょうか?!
立地適正化計画の詳細については下記の国土交通省のホームページをご確認ください。
http://www.mlit.go.jp/en/toshi/city_plan/compactcity_network.html
http://www.mlit.go.jp/common/001181678.pdf (立地適正化計画 実施状況)
立地適正化計画は都市再生特別措置法に基づき、市町村がつくる計画です。住宅を集める「居住誘導区域」(住む場所を集約)と、店舗や福祉施設、教育機関などの立地を促す「都市機能誘導区域」(仕事をする場所を集約)を設ける計画です。都市計画法上の「市街化区域」よりも狭い範囲に設定することになっており、時間を掛けて街を縮め、人口密度を維持する狙いがあります。区域外の開発に対して市町村は規模の縮小を勧告したり、区域内で土地取得をあっせんしたりすることができるようになります。そもそも開発行為を禁止するものではありませんが・・・。
国土交通省によると、この計画ができると区域外での開発には届け出が必要になります。その一方で、区域内に施設を整備する事業者は税財政面の優遇措置を受けられるようになるそうです。
ちなみに本計画を推進するうえで欠かせないのがリノベーションと呼ばれる街なかの既存建物の再生と言われます。多くのエリアにおいて、市の中心街は建て替えなどの再編が進んでいますが、一本路地裏に入ると、かなり築年数の経った建物が存在しており、その改善が今後の課題です。
場所によっては民間資金を活用した社会資本整備(PFI方式)という制度を活用して、美術館やカフェなどの新たな施設にコンバージョンしていくケースも検討されています。
※PFI(英語: Private Finance Initiative)とは、公共サービスの提供に際して公共施設が必要な場合に、従来のように公共が直接施設を整備せずに民間資金を利用して民間に施設整備と公共サービスの提供をゆだねる手法です。
日本の都市は戦後、ほぼ一貫して膨張してきたため、全国の市街地の面積をみると、高度経済成長期に急拡大し、その後も徐々に広がってきましたが、今後はその逆の動きを辿っていくと予測でき、今、立地適正化計画が注目されています。
一般に店舗面積2千~3千㎡の食品スーパーが立地するためには、周辺人口が1万~3万人必要と言われ、コンビニエンスストアの場合は3千~4千人と言われます。このままの市街地の人口密度が低下すれば、生活に欠かせない店や施設の撤退が加速しかねない状況のようです。
団塊世代がすべて75歳以上になる2025年問題も地方都市の行く末に影を落とすと言われ、車で運転できない高齢者が急増するという事も考慮すると、通勤や買い物、通院など、車に依存する都市構造は行き詰まる事が予測できます。結果、不便なエリアでは自然的に人口減少問題が進み、車に過度に頼らない生活が可能になる場所に集約されていく事が予測できます。ちなみに、宇都宮駅前ではライトレールという路面電車をこれから走らせる計画が立っています。車に頼らない生活が注目を集めそうです。
http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/kurashi/kotsu/lrt/
これまで地方都市で郊外開発が進んだ背景には雇用も税収も増え、住民が便利になったことが挙げられますが、現在の地方消費は飽和状態に近づいており、今後は見直しも行われる事より、立地適正化計画の動向をウォッチしていく必要があるようです。
そのような中、埼玉県毛呂山町は立地適正化計画の中で「20年後に地下を10%以上、上昇させる」ことを目標に掲げたようです。町の人口はその間に18%減るものの、居住誘導区域内の人口密度を維持し、投資を呼び込み、地価上昇につなげていく戦略を描いているようですが・・・。
いずれにせよ、まだ立地適正化計画に手を挙げていない自治体も多くありますが、今後の住宅購入を検討する場合には立地適正化計画の居住誘導区域内での購入を強くおススメ致します。また、計画が立っていないエリアであっても、駅チカ・利便の良い場所での購入が非常に重要です。
今後もこのような動きについては情報配信をしていきたいと思います。
法人営業部 犬木 裕
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