不動産取引ガイド

太陽光発電 2019年問題をご存知ですか?!

5月6日(日)の日本経済新聞の朝刊に下記の記事が出ていました。

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO3014215006052018MM8000/

太陽光発電市場では少し前から2019年問題が騒がれはじめており、実際に2019年が近くなるにつれ、メディアで取り上げられる事も多くなってきています。

ちなみに太陽光発電の2019年問題をご存知ですか?!

2019年問題とは、2009年11月に開始した余剰電力買取制度(10年間は余った電気を高く買い取りますという制度)の固定買取期間10年間が満了する方が出てくる事を指しています。その数は約53万件、2023年までに160万件に達するようです。政府は再生可能エネルギーを国の主力電源に育てる方針だが、家庭が太陽光パネルを維持するインセンティブは減退する事が予想されています。

また、固定価格買取期間が終了したあとの買取価格がまだ確定していない事が「問題」のように思われがちですが、この点はすぐに明らかになることでしょう。

2019年問題の一番の問題点は固定価格買い取り期間終了後の売電価格の想定が、当時は24円kWhだったのに対して、実際には11円/kWh程度に下がる見込みのようです。

とはいっても、この2019年問題、実はほとんどの方にとっては関係のない話です。

まず、これから導入する方も含め、2016年度以降に太陽光発電を導入する方は2019年問題とは全く無関係です。

2016年度以降、経済産業省は11年目以降の想定売電価格を11円(電力卸売市場並み)と資料に明記しており、業者が用意する収支シミュレーションでも11円で計算する事が通例化しています。 そのため検討者は、あらかじめ11年目以降の売電価格を想定して、導入の判断をすることができます。

ちなみに、近頃では11年目以降の売電価格低下を見越して、太陽光発電と同時に蓄電池をセットで購入する方も増えています。

既に設置している方でも、10kW以上の太陽光発電システムを設置している方は関係ありません。(厳密には2012年7月以前に設置した10kW以上の方は関係ありますが、ほとんど対象の方がいないようです。)

10kW以上の太陽光発電システムは固定買取期間が住宅用の倍の20年となっていますので、あえて言うならば2032年問題となるようです。

2009年11月以前に太陽光発電の設置をした方は、そもそも今の余った電気を高く買い取るという制度を前提として購入されていないと思いますし、その当時は現在の制度とは違うRPS法のもとでの売電でしたので、買電単価と同じ約24円でした。

その後2009年11月に余剰電力買取制度がスタートし、それ以前に設置していた方も、ラッキーな事に10年間42円の売電単価に跳ね上がったという経緯があります。

そもそも今回の問題は2009年11月~2015年1月までの間に10kW未満の住宅用太陽光発電システムを契約した方が今回のいわゆる2019年問題に関係してくる方々です。

なぜなら、このときには11年目以降の売電価格は買電価格と同等の24円でシミュレーションするのが通例であり、現在想定される11円と比べて大きな差があるからです。

当然、当時に設置した方からすると「なぜ11年目以降の売電価格を24円で計算するのが通例だったのか」と憤りに似た疑問を持たれるかと思います。

その理由は、2009年以前は電力会社が買電単価とほぼ同じ24円/kWhで買い取ることが一般的であり、「2009年11月以降もそれまでと同じく方法で売電価格を決定する」と経済産業省が回答していたためです。

当時は11年目以降の売電価格について質問を受けた際には、24円が有力であると回答していたようです。

現在経済産業省が想定している11円という価格は電力卸売市場の価格を基に算出されており、「太陽光発電が再生可能エネルギーであることを加味して、 売電価格には若干の上乗せをするべきではないか」との考えもありますが、新電力など電力会社が個人と相対で契約を結び電気を買い取る仕組みが有力視されており、その買取価格は「10円以下と従来の5分の1になる」との話もあようです。

まとめると、この2009年11月~2015年1月の間に10kW未満の住宅用太陽光発電システムを契約した方が当初の想定と比べて11年目以降の収支が悪くなるという事が「本当の2019年問題」です。資源に乏しくエネルギー自給率が1割に満たない日本にとって、再生エネルギーの普及は悲願となっており、2019年問題も今後、注目をしていきたいと思います。

売電価格下落を軽減する方法として、有効なのが電気の自家消費です。当然、売電をする分の電力を自家消費すれば、売電価格下落の影響はありません。

自家消費割合を増やすための方策としては以下の3つがあげられます。

蓄電地の導入 ※近隣で融通したりする「地産地消」

エコキュートの昼間利用

電気自動車への充電

ドイツなど再エネ先進国にならい、「窮地」を「商機」に変える試みも広がり、地域に再供給する仕組などで地域活性化にもつながるとの話もあるようです。

法人営業部 犬木 裕

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