「どんなに悪くても値段を下げれば誰かが買ってくれる」これまでの住宅業界の常識でした。人口減・家余り時代においては、例え二束三文でも買い手がつかなくなる「捨てられる土地」が出てくるのです。これから家を買う方は20~30年後の買い手が激減した市場でも人が集まる「立地」の選択が重要となります。
急激な人口減少と少子高齢時代に突入した日本
かつて家が足りなかった時代、郊外型の住宅団地がたくさん形成されました。どんどん都市の中心部から離れて、最寄りの駅までバスを使わないとたどり着けない住宅団地がたくさん存在します。中心市街地の人口が減少し、郊外の人口が増加する人口移動現象を「ドーナツ化現象」と言いますが、今日本で起きているのは「逆ドーナツ化現象」です。利便性を求めて人口が中心市街地へ集まりつつあります。
日本は人口のピークを迎え、これまで経験のない人口減少時代に突入しています。生産年齢人口(15歳から64歳の人口)は向こう50年間でなんと4割以上も減ってしまうのです。50年というとずいぶん先のようなイメージですが、住宅購入される方の平均が35歳±5歳ですので、今、家を買う方が80歳~90歳の話です。人生の終わりを迎えるにあたって住宅資産の現金化が必要になる時期に買い手となる人口は今より半減してしまうのです。
道路・水道・電気…インフラが悲鳴をあげています。
右表は建設後50年以上経過するインフラの割合を示しています。今後20年でインフラの老朽化が急速に進展することがわかります。例えば橋の向こうに10世帯ほどしか住んでいない集落があるとします。これまでの人口増の社会ではここに橋をかけることを許容できたのですが、これからの社会は違います。たった10世帯のために大きなお金をかけてインフラを維持することができないのです。財政破綻した夕張市の実状はインターネットで調べられるのでぜひご覧ください。急速な人口減少は地方に限った話ではありません。これから家を買う人は今後の人口動向に目を向ける必要があります。決してこれまでの常識で住宅購入を判断してはいけません。
将来的にも人が集まる「立地」を選びましょう
住宅を新築して、住まなくなったら(住めなくなったら)悪くとも二束三文で処分する…戸建の場合は悪くとも土地代くらいは現金化できる。それがこれまでの住宅業界の常識です。しかし、不動産は買い手がいなければ現金化できません。現金化できないだけでなく維持費や税金がかかる「負動産」となるのです。
財政が破綻した自治体をあえて選択する人はいないでしょう。事実夕張市は人口流出が止まらず、最高で12万人を数えた人口がとうとう1万人を切ってしまいました。行政の財政破綻だけではありません。人口減により利用者が減るとバスも廃線を余儀なくされます。駅徒歩圏内で十分検討できるのに、あえてバスが来なくなった住宅団地を選択する人はいなくなります。大型ショッピングセンターの周辺に造成された街も要注意です。ショッピングセンターが撤退したら途端に不便な立地となってしまうからです。
これからの住宅購入においては、将来的な人口動向を考慮して「より人が集まりやすい立地」を選択することが大切です。
リニュアル仲介では資産価値が下がりにくい住宅購入の一環として「立地」を重視してご提案しております。お気軽にご相談ください。