中古マンションには無い、新築マンション独特のリスク。その一つに、将来、共用部の維持管理がどのようになるのか全く予測不能、ということがあげられると思います。つくづくそれを実感させられる物件に出会いました。
先日、横浜市某所の築約25年のマンションを見に行きました。
誰もが一度は聞いたことがある大手デベロッパーのブランドを冠したマンション名で、販売図面に掲載されている写真は重厚な雰囲気を醸し出しています。管理費・積立金が安すぎるマンションは要注意ですが、それも適正な範囲です。物件価格は、築年数がある程度経っている分、割安な印象。
お部屋に入ると、何も問題なし。リフォームをすれば、十分魅力的になります。
バルコニーに出て、手すりや雨どいなどを観察してみると、少し気になる箇所が散見されました。雨どいや、手すりの防水部分(写真がないと表現が難しいですが)に、ひび割れがあります。軽微なものであればよいのですが、明らかに水が浸入するレベルの幅です。上に目を向けて上階のバルコニーの裏にあたる部分をみてみると、少し黒ずんでいます。これは大規模修繕が近々行われるはずと思い、売主仲介会社からマンション管理会社発行の管理に関する開示書類をお借りして内容を確認すると、大規模修繕の議案はでておらず、修繕積立金残高は2,000万円ちょっとという状況。
これはかなり危なっかしい財務状況です。
内見を終えて、マンションの外観を歩きながら見て回ると、外壁タイルが欠損している箇所が沢山ありました。1、2箇所ではなく、沢山あるのです。これで、積立金残高が上記の金額では、どう考えても修繕が追いついていきません。維持管理がなおざりになっているのが明らかで、現在は、まだ綺麗な雰囲気を保っていますが、このような状況が続けば、
将来的には劣化が進行し、資産価値を落とし続けていくことになるでしょう。
あるお客様がこんなことをおっしゃっていました。
一緒に見に行った維持管理が非常に良好な築30年の中古マンションをご覧になり、「30年でこの綺麗さを保っているというのは、維持管理がしっかり行われているという実績があるということですから、とても安心ですね。」。私もまったく同感です。
内見のときには、キッチン・お風呂・クロスなどが綺麗か汚いかや、眺望、日当たりなどに意識が向くものです。もちろん、それも大切なのですが、バルコニーにでたときには、くるりと体を反転して、外壁や目地、上階のバルコニーの裏(=見てる部屋の庇)なども、
しっかりと観察することをお勧め致します。
以上、リニュアル仲介本部 パイロット店エージェント 石川でした!