平成30年度の税制改正により、相続による土地の所有権移転の登記について、一部無償となる免税措置が設けられました。
<法務局 相続登記の登録免許税の免税措置について>
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html
(1)相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合
個人が相続により土地を取得した場合で、相続登記の前に死亡していた場合には、その個人のためにする相続登記は、登録免許税を課さないこととされました(平成30年4月1日から平成33年3月31日まで)。
不動産の名義が先々代(例:祖父母名義)のままになっている場合などに、こちらの登録免許税の控除の制度が利用可能となります。
現在話題になっている空き家、空地問題の原因の一つに相続未登記問題があります。
不動産の名義変更がずっとされておらず、現在の所有者がわからなくなってしまっているため、処分も何もできない状態になっているのです。
(2)市街化区域外にある資産価値の廉価な不動産
市街化区域外にある土地であって、不動産の価格が10万円以下の土地である場合に、相続登記にかかる登録免許税が控除される制度です(平成30年11月15日から平成33年3月31日まで)。
上記の条件に加え、相続による土地の所有権移転登記の促進を特に図る必要があるものとして法務大臣による指定があった土地に限られます。
これら2つの制度は、ともに相続登記を無償化することで、相続登記を促進し、所有者不明土地を解消することを目指しています。
ただ、これらの相続登記が放置される要因の一つは、不動産の資産価値がないことです。
資産価値がないため相続承継する必要を感じない、資産価値がない不動産に手間や費用をかけたくない、という判断になります。
現在の日本では、不動産を放棄する制度がないため、資産価値のない不動産であっても承継し続けていくしかありません。
現状の空き家・空地の問題の解決のためには、今回の相続手続無償化や、手続自体の簡略化、さらには国や公共団体での管理・保有も視野に法整備等を進めていく必要があるかと思います。
相続により先代から承継してしまった不動産に関しては何ともならない現状ですが、これから不動産を取得する場合には、人口減少・家余りが懸念されることを考えますと、改めて資産価値の下がりにくい不動産選びをすべきであることが重要になるかと思います。