不動産取引ガイド

たかがコンビニされどコンビニ…

今じゃ自宅の近くに欠かせないものの中に入ってくるのがコンビニエンスストアではないでしょうか?

ですが、ある地域ではコンビニがないのが当たり前なのです。

それは、「一種低層住居専用地域」という用途地域に指定されているエリアです。

本来、一種低層住居専用地域という用途地域内(いわゆる閑静な住宅地)では店舗や事務所なども出店は原則不可となっておりました。

そもそも土地の混在を防ぎ、どの地域でもトラックなどが行きかう街とならないよう土地を13地域に分類し用途を分けたのが用途地域の目的ですので、その中でも住宅地とする目的でもある一種低層住居専用地域では13種類の用途地域の中でも規制が厳しいエリアとなります。

一種低層住居専用地域の住民も、せっかく閑静な住宅地に家を買ったのに隣がコンビニになった途端に人がたむろするようなエリアとなってしまっては困ってしまいます。

ですが、その一種低層住居専用地域に2016年6月2日「規制改革実施計画」が閣議決定されました。住環境を害さない、公益上やむを得ないといった条件をクリアすれば、コンビニの出店が許可される事となったのです。

それは、日本が少子高齢化社会となっているからです。

一種低層住居専用地域にはいろんな年齢層の方が幅広く居住していますが、少なくとも高齢者の方も住んでおり、その方々の買い物の不自由さを解消する目的でもあります。

実際に高齢者の方から買い物に不自由しているといった調査結果も出ていたようで、今後高齢者の方がより良い生活を送れるような環境づくりの一環でコンビニの出店が許可されたという背景があるようです。

コンビニを建設する事は簡単ではなく、便利だからと言ってもやはり周辺住民からの反対もあるかと思います。

そんな中、世田谷区ではコンビニがない事で不便を感じている事もあり、コンビニを設置できるよう設置許可基準を策定したようです。建築基準法に関する国土交通省令の基準に適合しているものについては、建築審査会の同意が不要ともなっているそうです。

私たちの身近にあるコンビニですが、高齢者の方の買い物弱者を少しでも減らす事が出来るよう、街も国も変わっていかなければなりません。

高齢者も若い世代も安心して住むことが出来る街となるにはまだまだハードルはあるようですが、今後ご自身が住む地域もどのように変わっていくのかは住宅を購入するうえでは欠かせない情報となりますので、購入前には確認してみてください。

リニュアル仲介、前田でした。

数十年度に一度の災害は本当か?データで調べるハザードリスク前のページ

2019年11月 フラット35金利のご案内次のページ

ピックアップ記事

  1. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  2. 住宅購入は不安でいっぱい
  3. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  4. 危険な場所は 地形図で見分ける
  5. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    バブル崩壊後、土地に対する意識の変化で「迷子の土地」が増えている!

    このまま放置すれば大変になると言われる「迷子の土地」というものがありま…

  2. 不動産取引ガイド

    国土交通省,女性の活躍求む!

    8月17日の報道でこんなニュースが流れました。国土交通省、吉本…

  3. 不動産取引ガイド

    命を守るカードゲーム

    国土交通省は、防災教育の一環として、津波や大雨など水害対策を遊びながら…

  4. 不動産取引ガイド

    マンションの寿命は?

    そもそもマンションの寿命は何年程度なのか、ご存知でしょうか。マンシ…

  5. 不動産取引ガイド

    不動産の贈与と注意点

    たまにですが、「マンションを妻名義にしたい」「親の土地を自分名義にして…

  6. 不動産取引ガイド

    避難行動は浸水前に行動しよう!

    7月上旬、熊本県を中心とした記録的な大雨による影響で、球磨川(くまがわ…

  1. お金・ローン・税金

    タワーマンションの高層階は増税?!対象となるマンションとスタートの時期は?!
  2. お金・ローン・税金

    『ローンの返済を具体的に比較検討、シミュレーションするならこれ!』
  3. 不動産取引ガイド

    【瑕疵保険①】中古住宅の保証って?
  4. 不動産取引ガイド

    売る時に価格が下がりやすい物件とは?(自主管理のマンション)
  5. 不動産取引ガイド

    老朽化するインフラ 水道管の耐用年数をご存知ですか?!
PAGE TOP