不動産取引ガイド

違法広告「ステカン」を調べてみました

「ステカン」または「マキカン」という言葉をご存じでしょうか?
不動産業界では、電柱などに張り付けたチラシを「捨て看」「巻き看」などと呼びます。
「捨ててしまう看板」という意味です。

迷惑防止条例などで禁止されていることもありますが、そもそも街の見た目も悪くなりますし、雨ざらしになってボロボロになったりと、非常に迷惑なものです。
そして一番問題なのが、その物件がたいていロクデモナイという点です。

そんなステカンが我が家の目の前の電柱に貼られていましたので、折角ですので物件を調べてみました。

ステカンの宣伝文句は以下です。
・〇〇駅徒歩14分
・1280万円の特別価格
・希少物件
・現金購入で割引いたします!
・連絡先090-××××-××××(担当:〇〇)
といった内容でした。

確かに、相場価格からしてみれば破格の値段です。
ただ、土地や建物の広さも不明、築年数も不明、担当会社の名称も連絡先も不明です。
必要な項目の記載もなければ、記載してはいけない宣伝文句を使っていたりと、広告のルールをダイナミックに無視しています。

そして、肝心の販売物件はというと、
・建物面積70㎡未満の木造2階建
・築50年の旧耐震基準
・接道2m以下の再建築不可
・建ぺい率・容積率オーバー
・駐車スペースなし
・私道持分あり
・瑕疵担保免責
という、イレギュラー要素を網羅した悪条件の塊のような物件でした。
普通に考えれば、真っ先に検討候補から外すべきですね。

もちろん、こういった物件が絶対に悪いわけではありません。
リスクを承知したうえで、慎重に費用対効果を検討しながら、投資用やセカンドハウス用に購入することはありだと思います。

ただ、一般消費者の方がチラシの謳い文句に惹かれて問合せをすることだけは、絶対にお止めください。
違法な広告をする会社ですので、物件についての正確な情報をアナウンスしてもらえる可能性がほぼありません。
営業方法についても、業法に則ったものである保証はありません。
あとからトラブルになることが目に見えています。

お住い購入で時間がかかってしまってくると、どこかに「未公開」の「お得」な、「掘り出し物件」があるのではないかと考えてしまいがちです。

ただ実際には、そのような物件はほぼありません。
物件の値段が安いのは、安くないと売れないからです。
必ずその価格である「理由」があります。

お住まい購入は、人によっては一生に一度の高額な買い物です。
ぜひ信頼できるエージェントと相談しながら、失敗しないお住まい探しをしてください。

【住宅ローン減税2】住宅ローン減税が使えない!前のページ

【フラット35】の新機構団体信用生命保険制度とは?次のページ

ピックアップ記事

  1. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  2. 住宅購入は不安でいっぱい
  3. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  4. 立地適正化計画をご存知ですか?
  5. 危険な場所は 地形図で見分ける

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    戸建て住宅を検討されている方必見、外壁塗装診断で利用されるABCチェックについて

    戸建て住宅を購入する前・購入後に住宅のメンテナンスは必須です。■外…

  2. 不動産取引ガイド

    2018 年3月度の不動産相場

    公益財団法人東日本不動産流通機構(通称:東日本レインズ)から、2018…

  3. 不動産取引ガイド

    海外赴任者 帰任に備えた日本の家探し 12 【ローン正式審査~決済編 1/6】

    「海外赴任者 帰任に備えた日本の家探し」シリーズ。前回の記事で売買契約…

  4. 不動産取引ガイド

    ペットにやさしい床材とは

    現在、4世帯に1世帯の割合でペットを飼っていると言われています。我…

  5. 不動産取引ガイド

    ネット銀行も強化する住宅ローン『ペアローン』の注意点について

    ネット銀行や大手銀行が、夫婦で住宅ローンを借りる「ペアローン」の開拓に…

  6. 不動産取引ガイド

    防犯対策

    皆さん、防犯対策はどの程度されていらっしゃいますでしょうか。最…

  1. 不動産取引ガイド

    熱中症警戒アラート
  2. 不動産取引ガイド

    IoTの取り組みで高齢者が快適に暮らす住まい!
  3. 不動産取引ガイド

    逃れられない税金と責任。売れない不動産の行く末とは?
  4. 不動産取引ガイド

    住宅ローン減税の要件と注意点
  5. お金・ローン・税金

    中古住宅購入時の住宅ローン減税~早めの手続きが失敗しない最大の対策~
PAGE TOP