不動産取引ガイド

『一生に一度の不動産購入』は古い考え方?!

■高齢者の住生活が安心できない?!

高齢者が安心して住宅に住めなくなっているという記事を見ました。その理由として、持ち家のリフォーム費用(修繕費)の負担は増え続け、昨今の建築資材等の要因が含まれているようです。それも人の長寿化によって修繕回数が増え、工事単価も10年で2割上昇しているようです。そのような記事を見て、そもそも一生に一度の不動産購入と勝手に判断し、購入した住宅に住み続ける事が前提で、リフォーム等を実施し、住み続けようと考える事に無理があるように感じます。例えば、昨今の建築資材の高騰により、リフォーム費用の捻出が厳しいようでしたら、自宅を売却し、小さな間取りのマンション等に住み替えをすることにより、リフォーム費用(修繕費)のコスト削減とより長く住み続けられる環境を手に入れるという考え方も出来るのではないでしょうか?勿論、高齢者となると、移動をしたくないと判断される方も多いと思いますので、アクティブシニア時代に、このような選択肢もあることを把握して置けば、このような老後問題も回避できるのではないでしょうか?

総務省の家計調査では、世帯主の年齢が60歳以上の二人以上世帯の持ち家率は2021年で90%を超えているようです。多くの人が「終の棲家(ついのすみか)」を確保していますが、昨今のインフレ状態が年金を切り崩しながらの生活が必要な高齢者にとって厳しい局面を突き付けています。そのようなインフレ状態を判断する為、消費者物価指数を確認してみると、2021年までの約10年でおよそ2割上がっています(住居の外壁塗装や水道工事など「工事その他のサービス」で確認)。

■マンションでも修繕費用負担が大幅に上がっている!

マンションでも修繕の負担は更に重いようです。東京カンテイ(東京・品川)社が首都圏で、竣工年別に新築時に定められる毎月積立金などを調べたところ、2021年は10年前より4割弱高いといったデータもあるようです。積立金が大幅に上がった現在の水準も国土交通省がマンション修繕の積立金の目安として示すガイドラインの平均値(小規模物件、1平方メートル当たり月335円)に及ばず、さらなる増額が必要なマンションも増えると予想されています。

また、賃貸住宅でもオーナーの約7割が高齢者の入居に拒否感を抱くといったケースもあるようです。国土交通省の2020年度調査では賃貸住宅のオーナーの約7割が高齢者の入居に拒否感を示されているといったデータもあるようです。入居中の孤独死で、その後の賃貸が難しくなったり、認知症を患ってほかの入居者とトラブルになったりすることを警戒されています。

■資産となる不動産を手にして老後問題を回避する!

いずれにせよ、不動産購入時に「一生に一度の不動産購入」と考えるのではなく、子供がいるうちは少し大きめの住宅、子供が出ていった後は、夫婦2人の少し小さめの住宅といった家族構成によって、住み替えをすることにより、老後問題等にも対処できる住宅になるのではないでしょうか?その為には不動産を「資産」と考え、いつでも貸せたり、売れる不動産をお持ちいただきたいと思います。今後の参考にお役立て下さい。

法人営業部 犬木 裕

売る時に資産価値が下がりやすい物件とは(駐車場、空き地等に隣接しているマンション)前のページ

避難訓練がお勧めです次のページ

ピックアップ記事

  1. 危険な場所は 地形図で見分ける
  2. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  3. 立地適正化計画をご存知ですか?
  4. 土地価格の相場を知る方法
  5. 住宅購入は不安でいっぱい

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    バブル崩壊後、土地に対する意識の変化で「迷子の土地」が増えている!

    このまま放置すれば大変になると言われる「迷子の土地」というものがありま…

  2. 不動産取引ガイド

    「本気の街づくり」を目指した豊島区!

    2014年5月に豊島区は23区で唯一、「消滅可能性都市」と指摘されたこ…

  3. 不動産取引ガイド

    防災月間に考える「避難の必要のない建物」とは?!

    突然ではありますが、防災科学技術者研究所の兵庫耐震工学研究センター(兵…

  4. 不動産取引ガイド

    スーパーランキング!

    生活環境が良い事も住宅選びの条件だと思います。特に、スーパーが近い…

  5. 不動産取引ガイド

    マイホーム売却時に活用できる控除とは?

    昨今、マイホームも自分のライフステージにおいて、買い替える方が非常に多…

  6. 不動産取引ガイド

    国土交通省「防災ポータル」開設!2020年東京オリンピック開催期間中の地震発生も想定。

    国土交通省は、東京オリンピックで訪日外国人が増えることが予測されている…

  1. 不動産取引ガイド

    マイホーム 「消費」としての考え方と「資産」としての考え方
  2. お金・ローン・税金

    火災保険の家財の保険金額の設定方法はどう決定すれば良いのか…
  3. 不動産取引ガイド

    住宅ローンは何が良い?!コロナ禍で賃貸から売買を検討する方が増えている?!
  4. 不動産取引ガイド

    一建築物一敷地の原則とは…
  5. 不動産取引ガイド

    「家を買うなら知っておきたい情報セミナーin博多」
PAGE TOP