不動産取引ガイド

驚きの結果。新耐震基準の木造住宅が倒壊する!?

先日、日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)が驚きの発表をしました。

それは、1950~2000年5月までに着工した木造在来工法の木造住宅で、2階建てまでの住宅2万7,929棟を調査した結果、その約9割以上が「倒壊する可能性がある」又は「倒壊する可能性が高い」という結果になった、というものです。

もう少し詳しく見てみると、いわゆる「旧耐震基準」と呼ばれる1950~1980年着工の住宅については、「倒壊する可能性がある」と「倒壊する可能性が高い」を合わせると「97.4%」になります。

そして、1981~2000年築の「新耐震基準」の住宅についても、「倒壊する可能性がある」と「倒壊する可能性が高い」を合わせると、「85.9%」になります。

2000年以降築の住宅は「現行の新耐震基準」というものに該当し、今回の調査対象にはなっておりません。

この結果からは、2000年以前の住宅については、耐震診断および耐震補強工事が必須と言えるのではないでしょうか。

資産価値から考える建物の築年数

今回の調査結果からは、「築20年も築40年も、倒壊のリスクについてはあまり大差ない」という結論が導き出せるかもしれません。

こうした住宅を購入する場合には、耐震補強工事をすることになりますが、リフォーム費用に関しても、大きな差はありません。

例えば、新耐震基準の場合は平均約168万円、旧耐震基準の場合でも平均約189万円という結果でした。

一方、売買取引の慣習として、築年数が経過している方が建物の資産価値なしとして、取引価格自体が安くなることがあります。

木造住宅については、築年数が経過している古家付きの土地を購入して、耐震補強工事をして住む方が、結果的に賢い買い方になることもあるかもしれません。

構造と工法も重要な判断基準に

今回の調査は、「木造在来工法」に限定したものになります。

その他の「2×4(ツーバイフォー)工法」や「鉄骨造」の住宅などは、この調査結果とは関係ありません。

こういったケースでは、いわゆる耐震診断ができませんので、施工会社に直接確認することになります。

確認した結果、耐震基準適合証明書が発行できれば、安心して購入いただけます。

購入する際の流れが異なりますので、注意が必要ですね。

住まいの購入は高額な買い物になりますが、ただ価格が「高い」、「安い」だけではなく、将来的な資産価値の見通しはどうか、「住まいの安全」も担保されているのか、などの視点も必要です。

ぜひお気軽にご相談ください。

不動産購入時 価格交渉する前に知っておきたい事前のページ

2021年3月度の不動産相場次のページ

ピックアップ記事

  1. 住宅購入と 生涯の資金計画
  2. 住宅購入は不安でいっぱい
  3. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  4. 立地適正化計画をご存知ですか?
  5. 危険な場所は 地形図で見分ける

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    分譲マンションの共有部分とよく耳にしますが、どこを指しているのでしょうか…

    分譲マンションなどのように、一棟の建物が構造上いくつかの部分に区分され…

  2. 不動産取引ガイド

    不動産取引で良く見かける「うっかりミス」

    不動産取引においては、難解な用語や普段使わない専門用語が多く出てくるた…

  3. 不動産取引ガイド

    住宅購入は不安でいっぱい

    9月9日の読売新聞で「金融緩和「静かな出口」探る、賃上げ見極めは「年末…

  4. お金・ローン・税金

    【必見】10月1日からフラット35Sの金利引き下げ幅が変更となりました…

    フラット35Sは、質の高い住宅を取得したことにより、金利を10年間もし…

  5. 不動産取引ガイド

    間取りの失敗ランキング!

    現在、自宅の建て替え計画がありますのでいろいろな雑誌を見ます。そこ…

  6. 不動産取引ガイド

    不動産の登記をきちんと変更しておくことのメリット

    今回は、購入した物件の登記をきちんと変更しておいた方が良いケースのご紹…

  1. 不動産取引ガイド

    相続登記(名義変更)は必要か?
  2. お金・ローン・税金

    2021年度税制改正大綱による住宅ローン減税等について
  3. お金

    安い物件買ったら贈与税!?気を付けておきたい中古住宅取得と贈与税の関係≪2/2≫…
  4. 不動産取引ガイド

    中古マンションの購入時に「修繕積立金」をチェックする?!
  5. 不動産取引ガイド

    住宅ローンの支払いに困った!任意売却の前にやるべき事が・・・!
PAGE TOP