長期優良住宅のメリットとして、税金控除や低金利の住宅ローンに加入できること、保険料減額や補助金適用などについて調べてみました。
【メリット】
所得税における住宅ローン控除での優遇
最大で13年間、年末時点での住宅ローン残高の0.7%が所得税から控除されます。(令和4年度税制改正大網により、4年間延長がされ2025年末までに入居した場合に適用されます。)消費税10%以上で住宅を購入した場合は最大13年間、それ以外が10年間です。
対象となる住宅ローンの限度額は、長期優良住宅は5,000万円です。一般の住宅の上限である3,000万円と比べると優遇されています。
不動産取得税の減税
長期優良住宅では、不動産を購入した際にかかる不動産取得税の控除額が、一般住宅より多くなります。
一般住宅の控除額は1,200万円までですが、長期優良住宅は1,300万円までです。(適用期間は、2024年3月31日までに取得)
固定資産税評価額が同じ3,000万円の場合
【一般住宅】
不動産取得税=(固定資産税評価額-1,200万円)×3%=(3,000-1,200)×3%=54万円
【長期優良住宅】
不動産取得税=(固定資産税評価額-1,300万円)×3%=(3,000-1,300)×3%=51万円
以上のように比べると優遇されています。
登録免許税の税率が引き下げ
住宅の建築や購入をした際の、所有権保存登記や所有権移転登記にかかる登録免許税の税率が引き下げられます。
一般住宅の場合、保存登記が0.15%、移転登記0.3%(一戸建て)です。
一方、長期優良住宅では保存登記0.1%、移転登記0.2%(一戸建て)となっており、それぞれ減税措置を受けられます。
(適用期間は、2024年3月31日までに取得)
住宅の評価額が5,000万円の場合
【一般住宅】
一般の保存登記にかかる登録免許税は5,000万円×0.15%=7万5,000円
【長期優良住宅】
長期優良住宅は5,000万円×0.1%=5万円
※2023年3月時点の税率で計算しております。
固定資産税の減税期間の延長
新築住宅を購入した際に、固定資産税が2分の1に減税される期間が、通常の住宅よりも延長されています。
一般住宅は一戸建てで3年間、マンションなどで5年間です。
長期優良住宅の場合、一戸建てが5年間、マンションが7年間に延長されています。
(適用期間は、2024年3月31日までに取得)
ただし、住宅面積が50m2以上280m2以下、居住部分の床面積が全体の2分の1以上などの規定があります。
詳しい条件については、手続き先である市町村の情報などを事前に確認が必要となります。
住宅ローンの金利優遇
長期固定金利の住宅ローン「フラット35」を組む場合、住宅ローンの金利が優遇されるのも長期優良住宅のメリットです。
また、フラット35の加入者が利用できる「フラット35S」が適用できれば、さらに借入金利を下げられます。
フラット35Sでは、金利が引き下げられる期間が決められており、Aプランでは10年間、Bプランが5年間となります。
地震保険料の割引が受けられます
長期優良住宅は地震保険料の保険料割引対象です。長期優良住宅の認定基準には耐震性の項目があり、「耐震等級2以上」を満たしているため、優遇措置が受けられます。
耐震等級2の割引率は20%です。
しかし、住宅によっては、耐震等級2より耐震性が高い耐震等級3の割引が適用されます。
耐震等級3(最高等級)の割引率は30%です。
地域型住宅グリーン化事業の補助金を受けられる場合がある
長期優良住宅を建てると、地域型住宅グリーン化事業の「長寿命化」に関わる補助金として、最大150万円を受け取れる可能性があります。(※ゼロ・エネルギー住宅長期対応型の場合)
補助を受ける条件は、国土交通省の採択を受けた中小工務店で木造住宅を建築することです。
建築に地元の木材を利用すると、さらに加算金が出る場合もあるようです。
【デメリット】
■長期優良住宅の着工には時間がかかる場合がある
長期優良住宅の建築を着工するには、通常の住宅よりも1週間~1カ月、場合によってはそれ以上時間がかかる場合があります。これは、所管行政庁(建築確認申請を行う公共団体)による長期優良住宅の認定をもらってから着工する必要があるためです。
■建築コストがアップする場合がある
長期優良住宅の認定を受ける基準を満たすために、建築コストが上がる可能性があります。
■長期優良住宅の申請費用がかかる
長期優良住宅の申請・審査にかかる費用は所管行政庁によって違いますが、おおよそ5~6万円です。実際は住宅建設会社や工務店に申請書類を作成してもらうため、この手数料を含めると、合計で20~30万円程度かかるのが一般的です。
■定期点検が欠かせない
長期優良住宅は建築・入居後も定期点検が必要です。
認定基準には維持保全も含まれているため、建築前に提出した「維持保全計画」に従って点検し、必要に応じて修繕します。
維持保全を怠った場合、認定を取り消されることもあります。
いかがでしょうか。長期優良住宅にはいろいろなメリット・デメリットがあります。
購入の際にはご自分に合ったお住まいになるよう専門家に相談していただけると幸いです。
リニュアル仲介、渡辺でした。