不動産取引ガイド

購入前に知っておきたい、インフレ時の不動産購入術! (投資編)

現在、不動産、建築業界には中東情勢の影響により、多大な影響が発生しています。また生活必需品もインフレ状態となり、値上げに苦しむ国民も多くいます。インフレとは物価が持続的に上昇し、通貨の購買力が低下する現象です。日本銀行は年率2%のインフレ目標を掲げており、2022年以降の日本経済はまさにインフレ基調にあります。2024年8月の消費者物価指数は前年同月比3.0%上昇と、インフレの継続が確認されています。銀行預金の金利が現状0.1〜0.2%程度にとどまる中、現金保有のままでは実質的な資産価値が目減りするため、インフレに強い資産への投資が重要になっています。

■不動産がインフレに強い3つの理由

1.実物資産であり価値が下がりにくい

不動産は土地・建物という実体を持つ実物資産であるため、通貨価値の下落の影響を受けにくい特性があります。特に都市部の土地は希少性が高く、長期的に価値が上昇する傾向にあります。実際、国土交通省発表の不動産価格指数も上昇傾向を示しています。

2.インフレに連動した家賃収入の上昇が期待できる

物価上昇に賃金上昇が追いつくと、家賃相場も上昇していくのが通常の流れです。2023年には消費者物価指数における賃貸住宅の家賃指数が25年ぶりにプラスとなったことも報じられています。

3.ローン残高の実質価値が目減りする

インフレが続くと貨幣価値が低下しますが、すでに借り入れたローンの額面は変わりません。そのため、収入が上昇するインフレ局面では、実質的な返済負担が軽減される効果があります。

■不動産がインフレ時にやってはいけない4つのこと

1.現金で保有し続ける

インフレ率に対して銀行金利が大きく劣後している現状では、現金保有は実質的な損失を招きます。さらに投資機会を逃す機会損失も重なり、資産家と非投資家の格差が広がりやすくなります。

2.ローンの固定・変動金利を安易に決める

インフレ時は「固定金利が鉄則」といわれますが、収益物件の場合は途中売却時に高額な違約金が発生するケースもあります。マイホームか収益物件か、個々の状況に応じた判断が必要です。

3.情報に振り回されて不動産を買う

不動産投資への関心が高まると、根拠の乏しい強気情報や割高な価格設定が横行しやすくなります。適切な市場分析なしに購入すると、高値づかみや将来の売却困難といったリスクに直面する可能性があります。

4.インフレに全ベットする

インフレが永続すると思い込み、過度な借り入れや偏った投資を行うのは危険です。デフレへの反転リスクや金融政策の変更リスクも常に存在するため、バランスの取れた投資姿勢が不可欠です。

■インフレ時に成功する不動産投資のコツ

家賃収入が得られる賃貸経営を始める(ワンルームマンション除く)

一棟アパートや戸建てなど賃貸経営は、不動産価値の上昇と家賃収入の上昇という2つの観点でインフレ対策になります。ただしワンルームマンションは空室リスクや収支悪化のリスクが高く、推奨できません。

■家賃相場が上昇トレンドにあるエリアを選ぶ

都心部や主要駅近接エリア、再開発が進むエリア、人口流入が続くエリアは賃貸需要が安定しており、家賃上昇が期待できます。人口動態や開発動向を中長期的な視点で分析することが重要です。

■節税重視なら中古一棟アパート(木造)を選ぶ

中古木造アパートが節税手段として注目される最大の理由は、減価償却の仕組みにあります。木造建物の法定耐用年数は22年ですが、中古物件の場合は「(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%」という計算式で残存耐用年数が算出されます。たとえば築22年超の木造アパートであれば耐用年数はわずか4年となり、取得費用の大部分を短期間で費用計上できます。これにより給与所得などと損益通算することで、所得税・住民税の節税効果が大きくなるのです。特に高所得者にとっては、短期間に多額の減価償却費を計上できることで、税負担を大幅に圧縮できる点が魅力です。節税効果を最大化するためには、建物価格の比率が高い物件を選ぶことも重要なポイントとなります。

■不動産のインフレ対策との相乗効果

節税効果に加え、インフレ対策としての側面も見逃せません。インフレ局面では物件価格自体が上昇しやすく、家賃収入も中長期的に上昇が期待できます。つまり中古木造アパートへの投資は、「節税による手元資金の確保」と「インフレによる資産価値の維持・向上」という二つのメリットを同時に享受できる点で、非常に合理的な選択肢といえます。また、インフレ下でローンを活用して物件を取得した場合、前述のとおりローン残高の実質価値が目減りするため、レバレッジ効果も加わり資産形成の効率が高まります。

■バランスある投資姿勢の重要性

一方で、節税目的に偏りすぎた投資判断にはリスクも伴います。減価償却期間が終了した後は節税効果がなくなるため、その後の収益性や出口戦略(売却計画)を事前に見据えておくことが不可欠です。また築古物件は修繕費がかさみやすく、空室リスクも考慮する必要があります。インフレが永続するという前提で過度なレバレッジをかけることも危険です。経済環境は常に変化し得るため、デフレ回帰や金利上昇といったシナリオにも耐えられるキャッシュフロー計画を立てた上で投資判断を行うべきでしょう。結局のところ、中古木造アパート投資は節税とインフレ対策を兼ね備えた有力な手段ではありますが、物件の立地・収益性・修繕状況を冷静に精査し、長期的な視点でバランスよく活用することが成功の本質といえます。今後の参考にお役立てください。

法人営業部 犬木 裕

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