6月号の日経ホームビルダーは耐震に携わる者にとって衝撃的なタイトルでした。
今回の熊本地震での被害状況を調べたところ、ホールダウン金物が破断している物件があったそうです。
ちなみにこの建物は2001年完成ということで、耐震としては現行法と言われる2000年基準以降の建物でした。
ホールダウン金物というのは、柱と土台、基礎を緊結する金物で、地震動によって発生する柱の引き抜けを防止する目的で設置されます。
柱が引き抜けて倒壊すると、1階だけが倒壊し、2階が上に乗るという崩れ方になります。
阪神淡路大震災でも見られた倒壊で、柱の引き抜け防止対策として、2000年6月からは適切な金物を使用することになりました。
細かな原因追及は今後の課題となるのでしょうが、個人的には2000年基準の建物でも被害が出たことに驚きを隠せません。
詳細は是非記事をご覧いただきたいのですが、破断したホールダウン金物は25kN用(非常に強い)で、それを上回る地震動だったというよりは、当該箇所に引抜け力が集中するような設計だったのではないかと推測します。
建築基準法や性能表示制度で建物の強さを示すものさしは存在します。しかし、それはあくまでものさしでしかなく、結局のところその建物にとって最適な状態なのかが問われるのだと思います。
こういった震災が発生すると、いたずらに強くすればいいと考える方も多いようですが、まずは基準が示す強さを発揮できる施工なのか、また、バランスの良い設計になっているのか、基準を超えた高いレベルでの判断が求められるのかもしれません。
今回の震災では建物の性能について多くの貴重な教訓が得られると思います。その教訓を活かして来るべき次の災害に備えたいと思います。
リニュアル仲介の稲瀬でした。
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