本年夏にもスタートする予定の「安心R住宅制度」。初めて目にした方も多いと思います。
国による既存住宅流通活性化政策は着々と準備を進めてきていて、インスペクションや保証など中古住宅を安心して購入するための下地はすでに完成していて、これから中古住宅流通が活性化するのではなく、今まさに新築偏重から中古住宅への転換が行われていると言っても過言ではないと思います。
<参考>
国土交通省 流通促進に寄与する既存住宅の情報提供制度検討会
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000035.html
国がお墨付き「優良中古住宅」は安心か PRESIDENT Online 2017年06月01日
http://blogos.com/article/226300/
「新しいイメージの既存住宅」は通称「安心R住宅」。夏にも告示/国土交通省 REport 2017年2月28日
https://www.re-port.net/article/news/0000051076/
安心R住宅とは?
安心R住宅とは、国土交通省が中古住宅の流通を促そうと、消費者が安心して購入できる高い品質の中古住宅に設けたブランド名です。国土交通省に登録された各事業者団体が定めた基準を満たす物件に使用が認められます。
新耐震基準同等の耐震性を有すること、建物状況調査(インスペクション)の実施、構造上の不具合および雨漏りがないこと(広告段階で補修が完了していること)、購入者の求めに応じ既存住宅売買瑕疵保険を付保できる用意がなされていることなどが条件となり、(1)遵法性や設計図書など新築時の情報、(2)過去の維持管理の履歴(戸建住宅、共同住宅共用部)、(3)保険・保証に関する情報、(4)省エネに関する情報、(5)共同住宅は共用部の管理に関する情報、について情報収集を行ない、広告時点において情報の有無(有り、無し、不明)を開示し、消費者の求めに応じて詳細を開示することも求められます。
安心R住宅でないと安心できない?
冒頭に記載した通り、安心R住宅は単なるブランド名に過ぎません。既に運用されているインスペクション、既存住宅売買かし保険、住宅履歴などの制度が組みあわさっているだけとも言えます。個別に安心材料を積み上げれば、安心R住宅でなくても安心して中古住宅を購入することはできます。(リニュアル仲介では創業時から安心R住宅以上の安全基準を提供しています)
逆に安心R住宅だからといって”完全に安心”とは言い切れません。こういった制度がないよりあった方が便利というレベルでとらえた方が良いでしょう。
※引用※
会合では、同省が示した制度案について、「これだけの情報をミスなく開示するのは難しい。制度スタート時は、安心を司る耐震性や構造などコアな部分の情報開示にしたらどうか」「事業者団体ごとに定める基準もガイドラインで定めるべき」「必要な情報がすべて無しや不明でも安心R住宅にできるのはどうか」「運用に係るコストを会員から徴収してもいいか」など運用について意見・要望が出されたほか、通称案についても「国が認めた安心住宅という意味は大きい。安心という言葉は慎重に使うべきだ」などの意見があった。REport 2017年2月28日「「新しいイメージの既存住宅」は通称「安心R住宅」。夏にも告示/国土交通省」より
例えば「新耐震基準同等の耐震性を有すること」という条件がありますが、ここで言う「新耐震基準同等」は昭和56年6月以降の建築基準+αなので、木造戸建ての場合は耐震基準適合証明書が発行できる現行の耐震基準(平成12年6月以降)を満たしておいた方が安心です。既存住宅売買かし保険も保険に加入できるだけで良いのではなく、大切なのはインスペクションで可能な限り調査を行って、劣化部分を改修すること(住宅性能の維持保全を行うこと)です。各種情報についても安心R住宅は情報の有無を表示するだけです。売主から可能な限り多くの情報を引き継ぐことが大切なのは言うまでもありません。
安心R住宅は国によるお墨付き住宅とも言われます。確かにこういったラベリングは情報量の少ない消費者にとってはありがたい制度なのですが、だからと言って本来知るべき情報を知らなくても良いとはならないのです。
中古住宅を安心して購入するには、必要な情報を提供してくれる代理人が必要です。(リニュアル仲介ではバイヤーズエージェントと呼んでいます)必要な情報を並べて適切な判断を行うことが安心して中古住宅を取引する第一歩です。
リニュアル仲介では専属のエージェントが購入検討材料を徹底して提供いたします。中古住宅をご検討の場合はリニュアル仲介へご相談ください。
リニュアル仲介の稲瀬でした。