日本にマンションが登場して半世紀以上たちました。東京や大阪には高層物件が立ち並び、外国人の入居者も増えました。見上げるマンションは庶民にとって憧れの的でした。そんな私も前にタワーマンションに賃貸で住んでいたことがありますし、現在住んでいる、埼玉県川口市はタワーマンションがそびえる街です。マンションのネーミングには夢や希望、時代の雰囲気が表れているといわれますので、住宅購入の際に、ネーミングから建った年代が分かるかもしれません。
タワーマンションが林立する東京の湾岸エリアでは高さだけではなく、グレードもハイレベルなマンションが多く存在します。三菱地所が手掛けた「ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノレジデンス」(東京・中央)と隣の「同ティアロレジデンス」の名称の文字数は何と20を超えるようです。舌を噛みそうな名称です。
クロノやティアロは、世界共通語として19世紀末に作られたエスペラント語から取られ、同社は「都心の輝き」との思いを込めたと話しているようです。
マンションは本来、大邸宅を意味します。日本では中高層の集合住宅を指す言葉として定着したようです。
マンション名のカタカナ部分に注目すると、1970年代以前に多かったのは「ハイツ」「コーポ」「ハイム」などであり、今では昭和の懐かしさすら感じます。当時はこれが最先端だったようであり、「ロイヤル」や「ネオ」といった名前には、誇らしさが満ちあふれていると言われます。
マンション名は時代を映し、1980年代は郊外立地が増え、「グリーン」「パーク」が目立つようになるそうです。ウオーターフロントの開発が進んだ1990年代にはマンション名に「リバー」や「ベイ」「シー」が登場します。
川(リバー)は本来、住居としてはマイナスの用語でしたが、「再開発の進展やリバーサイドを舞台にしたテレビドラマの人気で、好印象の言葉に変わった」と言われているようです。
そしてバブル崩壊、リーマン・ショックなどを経て現在は時代にもまれたマンション名の今を読み解くカギの一つは外国人の登場だそうです。
かつてはアモーレ、シャトーなど、外国人が首をかしげるような名前のマンションがありましたが、最近では姿を消したようです。代わって「レジデンス」「ハウス」などオーソドックスで分かりやすい名前が復活してきているようです。
さらに、外国人の入居希望者や投資家に響くよう日本を代表する地名を付ける物件が目立ってきているようです。
マンション業界の勢力地図の変化もネーミングに影響を与えているようです。近年、大手の寡占化が進んだ結果、同じエリアで自社の物件が競合するケースが目立ってきています。
住友不動産は東急東横線中目黒駅周辺の3カ所で「シティハウス」シリーズを分譲している。自社競合がなければ「シティハウス中目黒」で決まりのはずなんですが、後ろに「テラス」「ステーションコート」「レジデンス」を付けて区別しているようです。
今や全国のマンションは630万戸(10万棟)を超え、業界からは「考えられる名称はほぼ出尽くした」との声も出ています。今後のマンション名は長いカタカナ名が飽きられ、漢字が台頭する可能性があると予想する声もあるようです。
マンション購入をする際にはマンション名にも思いを馳せてみる事も住宅購入の楽しみかもしれません。
今後の参考にお役立てください。
法人営業部 犬木 裕
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