不動産取引ガイド

昨年の台風19号の影響から注目される『立地適正化計画』?!

昨年の台風19号が通過した後はJR武蔵小杉駅周辺(川崎市)の道路は軒並み冠水しました。結果、林立するタワーマンションの地下の電源設備は浸水により停電し、復旧までかなりの時間を要しました。そのような状況になると、「不動産購入をする前に、このような状況になると分かっていたら購入をしなかった」というような声をよく聞きます。これから売買仲介の繁忙期となる為、そのようなタイミングで住宅購入をされる方は、ハザードマップの確認を、行っていただきたいと思います。

◆不動産購入時にハザードマップのチェックは必須?!

ちなみに川崎市は被害が想定される区域や避難場所などを示す洪水ハザードマップを作製していましたので、不動産購入をされる方は、事前に確認が出来ました。

しかし、不動産会社には住宅購入者に対して説明義務が課されていませんので、住民の認知度は低かったようです。それとは違い、土砂災害や津波ハザードマップについては住宅購入時に説明しなければならない項目となっています。参考までにタワーマンションが集まる川崎市中原区の洪水ハザードマップをご覧になってみて下さい。

クリックして03nthm.pdfにアクセス

台風で浸水被害があった他の地域の多くもハザードマップでリスクが示されています。
ぜひ、他の地域については、国土交通省が発表しているハザードマップポータルサイトをご覧下さい。
https://disaportal.gsi.go.jp/

東京都江戸川区は、ハザードマップを積極的に公開し、その危険性をPRされていました。それも想定する最大規模の大雨で「区のほとんどが水没」すると明記されていたり、人口密集地帯のために救助もしきれず「区内にとどまるのは危険です!」とPRされていますので、江戸川区の住民の方は、水災についての危機意識を持たれている方が多いようです。

この結果、昨年の台風19号の上陸時は約3万5千人が小学校などに避難されたようです。

昨年の台風19号の上陸時には「100年に1度」などと形容されてきた大規模災害について、住民の啓発や情報伝達の改善など「ソフト防災」にはまだまだ工夫の余地があると発表されていました。

◆人口減少社会に合わせた仕組み作り、『立地適正化計画』とは?!

防災意識は地方自治体の活動だけでは不十分であり、人口減少社会に合わせた仕組み作りが必要です。例えば、商業施設や住宅地を中心部に誘導するコンパクトシティー政策などもあり、その中心となる「立地適正化計画」を決めた283の自治体(令和元年12月12日現在)のうち、住宅を集める居住誘導区域に災害リスクのある区域が含まれる割合は実に9割を占めると言われています。

そもそも「立地適正化計画」を把握されていない方は、ぜひ、この計画の取組状況を確認していただきたいと思います。
https://www.mlit.go.jp/en/toshi/city_plan/compactcity_network.html

昨年の台風19号の上陸から大型台風は日本の防災インフラにどのような影響を及ぼすのかが注目されました。これから不動産購入をされる方は、そのような防災インフラの整備状況やいざという時に被災されにくいような場所であるのかどうかを必ずチェックしていただきたいと思います。

ぜひ、今後の住宅購入の参考にお役立て下さい。

法人営業部 犬木 裕

どんなキッチンがいい!?前のページ

横浜市営地下鉄の川崎市内延伸ルートと駅位置が決まる!次のページ

ピックアップ記事

  1. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  2. 土地価格の相場を知る方法
  3. 住宅購入と 生涯の資金計画
  4. 住宅購入は不安でいっぱい
  5. 立地適正化計画をご存知ですか?

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    不動産売却時にかかる「譲渡所得税」の注意点

    不動産を売却した場合にかかる税金として、「譲渡所得税」というものがあり…

  2. 不動産取引ガイド

    カーポートに適用される建ぺい率の緩和措置とは?

    お客様からたまに聞かれる質問に、「カーポートは建築面積に含まれないので…

  3. 不動産取引ガイド

    いよいよクリスマスにシーズンなりました。

    街にはクリスマスカラーのイルミネーションが目立ってきていますがこの…

  4. かし保険

    大手住宅メーカー10社 中古住宅でも無料で瑕疵(かし)保険を提供開始

    先日、日本経済新聞の記事で、 「積水ハウスなど大手住宅メーカー10社に…

  5. 不動産取引ガイド

    首都圏の中古マンション 43か月連続で前年同月比上回る!

    2016年7月度の首都圏の不動産流通市場の動向について、公益財団法人東…

  6. 不動産取引ガイド

    老後に移住希望19%、「高齢者を地方へ」は難しく?!

    内閣府が10月17日にまとめた「国土形成計画の推進に関する世論調査」で…

  1. デザイン

    「彩り」の住まい こだわりが随所に光るまるでカフェのようなくつろぎの空間
  2. 不動産取引ガイド

    コーポラティブハウスをご存知ですか?
  3. お金・ローン・税金

    全期間固定、超低金利のフラット35が益々使いやすくなりました!
  4. 不動産取引ガイド

    インスペクションは手段であって目的ではありません
  5. 不動産取引ガイド

    パッシブ住宅【 省エネ住宅シリーズ】
PAGE TOP