資産価値が下がりにくい住宅購入において、戸建てに比べ流動性の高いとされるマンションは有力な選択肢になります。マンションは共有物の区分所有になるので、建物全体の維持管理を無視できません。良い立地でも管理が杜撰では資産価値が維持されないからです。今回は国土交通省が提示するガイドラインから修繕積立金の目安の計算方法をご紹介します。
修繕積立金は安ければ良いというものではありません
マンションを検討する上で気になるのが「管理費」と「修繕積立金」。毎月の支払いとなる.ので負担は少ない方が良いと思いがちですが、「修繕積立金」は少なければ良いというものではありません。
新築時の販売会社の思惑もあり、当初の修繕積立金を安く設定しておき、時期を見て段階的に引き上げる「段階増額積立方式」が採られる場合が多いです。悪質なケースだと長期修繕計画の期間を短く設定することで修繕コストを安く見せかけているマンションもあります。マンションを検討する際は今の修繕積立金ではなく、将来的にどれくらいの修繕積立金が必要になるのかを予測しなけれなりません。
国土交通省がマンションの修繕積立金に関するガイドラインを提示しています。目安となる修繕積立金は下表の通り。今検討しているマンションの修繕積立金がこの目安から著しく低い場合は、将来的な引き上げが必要になると予測するのが現実的です。
ある地方都市の話です。たった1万円で売りに出されている中古マンションがあります。すでにマンションの管理は崩壊し、共用部は荒れ果て、エレベーターさえも動いていません。生活がままならなくなりほとんど空き家です。さらに購入すると前住人が滞納した管理費・修繕積立金の支払いが必要となるため1万円でも誰も買い手がつきません。このマンションはバブル期に建てられたリゾートマンションです。人が集まらなくなった街に建つマンションはスラム化が余儀なくされます。
日本は極端な少子高齢社会を迎えます。「段階増額積立方式」と言ってもない袖は振れません。マンション住人の高齢化に伴い管理費・修繕積立金の滞納問題が顕在化します。
平成25年度マンション総合調査(国土交通省)によると、世帯主の年齢が60歳以上を超える割合が50%を超え、高齢化が着実に進んでいることが伺えます。また、管理費の滞納問題が発生しているマンションは37%にも及びます。リゾートマンションの事例は対岸の火事ではありません。
また、不動産は要らなくなったからといっても引き受け手がいなければ棄てることもできません。スラム化して生活ができなくなったマンションでも、管理費・修繕積立金・固定資産税は払い続けなければなりません。この状況を「ババ抜き」と表現されます。最後まで持っていたら負け、気がつけばプレーヤー(買い手)が誰もいないという状況です。
「将来的にも人が集まりやすい立地選び」が重要
中古マンションを検討する場合、将来的に人が集まる立地選びこそがマンション選びで最も重要なことです。人が集まらない立地のマンションは、まさに”ババ抜きのババ”です。流動性が高いのがマンションのメリットのはずなのに、人が集まらないということは流動しないマンションとなります。これでは資産価値がゼロどころか管理不全でマイナスになる恐れもあります。人口減少に起因するこの問題は、地方に限った話ではなく首都圏でも起こりうるのです。
リニュアル仲介では資産価値が下がりにくい住宅購入のために、将来的な管理リスクなどのマイナス情報を含め徹底した情報開示を行います。お気軽にご相談ください。