不動産取引ガイド

不動産購入前に知っておきたい、分譲マンション関連法改正で変わる管理運営の実態と注意点

区分所有法など分譲マンション関連法が改正され、2026年4月に大半の規定が施行になります。
管理に無関心な所有者を減らし、重要事項は決めやすくなりますが、専門家からは「法律の想定と違う使われ方をされる可能性がある」と懸念の声も出ています。
法改正で、停滞していた話し合いが前に進むかもしれません。
また、懸念事項として、外国人所有者が約半数に上り、総会にも決議の賛否を示さない欠席者が多く、困っていたマンションにおいては状況が変わる可能性があります。
マンションの決議は重要事項ほど多くの賛成が必要となります。
管理規約に記載されていない管理費の引き上げなどは過半数でいい(普通決議)のですが、より重要な規約改正は4分の3以上の賛成が必要(特別決議)です。
賛成割合を考えるときの分母の原則は「区分所有者」と「議決権」となります。
例えば1戸あたり1議決権の1棟20戸のマンションがあるとき、1人が11戸所有すると議決権だけなら、1人で過半数を占めます。
そこで法律は、所有者の人数ベースでも一定割合の賛成を集めることを求めております。
また、議決権は専有部分の面積で決まることもあります。
これまで普通決議は通常、分母を出席者の議決権に緩和できました。
国土交通省が定める管理規約のひな型「標準管理規約」の最新版から考えると、1所有者=1議決権の100戸のマンションなら、まず過半の51人の出席が必要となります。
普通決議はこの過半、26人以上の賛成で通る計算となります。

■特別決議も普通決議に近いルールに

基本的に緩和不可だった特別決議も法改正で普通決議に近いルールになります。
先の例なら必要な賛成は原則75人(100人の4分の3)以上から39人(過半出席の51人の4分の3)以上に減る例が想定されます。
つまり、所有者である以上、管理への無関心は許されないというメッセージと考えられます。
知らぬ間に重要事項が決まる可能性があり、所有者に出席や書面で賛否を示すことを促す効果も考えられます。

■比較的少数の賛成だけで決まる懸念

一方、一部所有者などが自らに都合の良い事項を、広く合意を得ないまま決めようとする動きが起きかねないとの懸念があります。
数千万円以上かかる大工事も比較的少数の賛成だけで決まる懸念があります。
機械式駐車場を廃止して別の施設に変える、自転車置き場をなくして電気自動車(EV)充電設備設置場に転用するなど特別決議が必要となり得る事項などです。
大工事も全体の4割弱の賛成で決まりかねない点に危うさを感じる声もあります。
また、規約を改正して理事会などを置かず、管理会社がそれらの役割を兼ねる『管理業者管理者方式』の安易な導入も懸念されています。
この方式は高齢化などで、理事のなり手が少ないマンションから需要があるとされる手法となります。
しかし、発注者と受注者がいずれも管理会社の形になる例が多く、利益相反が生じやすいと国は注意喚起しています。

■総会出席が自衛策となる?!

比較的少数の意見で重要事項が決まることを避けるには、できるだけ総会に出席し、分母を減らさないことが自衛策となるようです。
出席者が増えれば、決議に必要な賛成数も増えるからです。
出席できない場合、通常は議決権行使書で賛否を表明できますが、従来、こうした手続きを取らずに欠席してしまう所有者が多いマンションも存在します。
これが今回の法改正の背景の一つでもあり、法改正で、招集通知には全議案の賛否を検討できるように内容を要約した「要領」も新たにつけると決まっています。
よく読み、出席か書面でしっかりと意思表示することが一段と重要になるようです。

■建て替え決議などのルールも変更される!

なお法改正されても各マンションの規約は自動で切り替わらず、総会で改正の特別決議が必要となります。
総会招集の手続きを、いつ行うかでルールが異なりますが、管理会社や弁護士、マンション管理士などに早めに相談するのが無難です。
建て替え決議などのルールも変わり、特別決議以上に重要な事項なので、分母は区分所有者と議決権で通常、5分の4以上の賛成が必要となります。
一定要件を満たすと4分の3以上となるといった緩和策もあるようなので、注意が必要です。
法改正では区分所有者は『相互に協力しなければならない』とも規定されています。
これが一番大事な条文となり、法改正の影響を最も受けるのは所有者の多くが管理に無関心なマンションとなります。
区分所有者は法改正を互いに協力する体制を築く契機と考えていただき、これからマンション購入をされる方は、このような改正ポイントを把握して、できるだけ集会参加を検討する必要があります。
マンション内にコミュニティが形成されれば、防犯、防災上の効果なども得られますし、定期的なイベントを開催するようなマンションになると日々の楽しい環境も作られます。
ぜひ、今後の参考にお役立てください。

法人営業部 犬木 裕

 

後悔しないための「AI情報武装」3つの新常識前のページ

古民家購入の注意点次のページ

ピックアップ記事

  1. 住宅購入と 生涯の資金計画
  2. 立地適正化計画をご存知ですか?
  3. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?
  4. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  5. 危険な場所は 地形図で見分ける

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    その中央線がまっすぐな理由…ご存じですか?

    東京の路線の中でも住みたい沿線トップ3に入る中央線。沿線の中で…

  2. 不動産取引ガイド

    団信の告知で気を付けるポイントは?

    自分は問題なく団信加入できるのか?住宅ローンでマイホームを買おうと…

  3. お金・ローン・税金

    住宅ローンの金利がいよいよ上昇?!日銀の利上げ時期との関係について

    住宅ローンの借り手にとって気になるのが今後の金利動向だと思います。…

  4. 不動産取引ガイド

    不動産購入前に知っておきたい、子育てに必要な教育費等について

    今春以降、子育てに関わる税制や手当が相次ぎ変更される予定です。4月には…

  5. 不動産取引ガイド

    不動産購入時に「生活防衛資金」はいくらぐらい確保すべきか?!

    ■不動産購入時にいくらぐらいの生活費(生活防衛資金)を確保すべきか?!…

  6. 不動産取引ガイド

    変動金利は「お得」なのか?「いつでも売れる」住宅購入が重要です

    いよいよ日銀の低金利政策が終了し、一部で懸念されていた急激な金利上昇は…

  1. 不動産取引ガイド

    不動産購入時に把握したい「相続税」について
  2. マンション

    室内の広さは面積だけでは判断できません。
  3. 不動産取引ガイド

    法務局備付けの地図が変わる!?
  4. 不動産取引ガイド

    減災型まちづくりを模索し、立地適正化計画のエリアも変更される?!
  5. お金・ローン・税金

    親からの贈与などなど。贈与税はいくらからかかるかご存知ですか?
PAGE TOP