不動産取引ガイド

敷地境界に(ブロック)塀がある場合の注意点(その②)

土地の境界線上に塀が設置されているが、老朽化して修繕が必要となっている場合、

「誰が費用を負担すべきか」という問題が生じます。

結論から言うと、→「塀の所有者」に修繕する責任があります。

そこで問題となるのが塀の所有が誰に帰属するかですが、最高裁判所の見解によれば、費用を負担した者ということになります。費用負担者が誰であるか分からない場合には共有と推定されることになります(民法229条)。

(参考)

民法第229条

境界線上に設けた境界標、囲障、障壁、溝及び堀は、相隣者の共有に属するものと推定する。

さらに老朽化が進み建替えが必要となった場合、塀の撤去費用については「塀の所有者」が負担しますが、再築費用については協議の上、折半して再築するか、それぞれが自分の土地内に新しい塀を作ることになります。

 

境界線上の塀は、その所有や修繕などが具体的に明白にされていない場合は、トラブルになることがありますので注意が必要です。

例えば、
40年も前に隣人の費用で建てた境界線上のブロック塀(塀の所有者は隣人)が、老朽化が進み危ないので解体してほしいといった時に、通常なら撤去費用は隣人という事になります。

ところが、ややこしいのが、隣人の所有者が変わってしまい、「そんな前のことは知らない、境界線上に建てたのなら双方の物だから折半で」と主張をされてしまった場合、相手が塀の費用を出した(所有者である)ことが立証できないと、折半になってしまう可能性もあるので注意が必要です。

逆もしかりで、自分が購入した物件の境界線上の壁は、実は旧所有者が「塀の所有者」だった場合は、解体費用や修繕の費用が発生することがありますので注意が必要です。

今から購入を検討する土地の境界線上に塀が存在する場合は、不動産会社を介して塀の所有関係や修繕について取り決めや合意関係の資料はないか、または隣人のご意向も確認してもらった方が良いでしょう!そのような資料等がない場合は、前述のとおり民法の規定から「共有」と推定されることになります。

共有の場合、上記のような資料がない場合には後々隣人のトラブルを防ぐ為にも、不動産の引渡しを受ける前に、売主である現所有者と隣人者との間で「合意書」や「確認書」のような書面を、取り交わしてもらい、不動産の引渡しを受けることをお勧めします。

以上、バイヤーズエージェント中田でした。
***************************************************

■不動産の資産価値を即座に判断

セルフインスペクションアプリ「SelFin」

https://self-in.com/ (ご利用は無料です)

■資産となる家を真剣に考えるセミナー

http://www.rchukai.com/#!seminar/c1vy0

***************************************************

2017年4月契約分から生命保険料が値上がります。だからといって駆け込み契約は気を付けてください!!前のページ

3.11 あれから6年次のページ

ピックアップ記事

  1. 買ってはいけない物件を自分でチェック
  2. その家は人口減少した将来でも売ることができる家ですか?
  3. 危険な場所は 地形図で見分ける
  4. 住宅購入は不安でいっぱい
  5. 建物インスペクションを実施する最適なタイミングとは?

関連記事

  1. 不動産取引ガイド

    自分たちの「価値」も家選びの軸にしよう!

    家探しを始めたら、物件情報をばかりに目が行きます。「とにかく家を購…

  2. 不動産取引ガイド

    防災の基本は最悪の想定から

    今年は東日本大震災から丸10年ということで、マスコミを中心に防災に関す…

  3. 不動産取引ガイド

    「ステルス値上げ」の影響で不動産選びは小さな間取り?!

    日本の住宅が再び狭くなっているようです。国の最新調査(2023年)では…

  4. 不動産取引ガイド

    畳が6枚ある和室は6畳分の広さがあると思っていませんか?

    今回は、畳のお話です。通常間取り図などで●畳もしくは●帖と記載され…

  5. 不動産取引ガイド

    長期優良住宅とは!?

    最近、長期優良住宅という言葉をよく耳にします。長期優良住宅とい…

  6. 不動産取引ガイド

    【プレスリリース】「マンションの耐震性に関するアンケート」住宅購入意識調査

    「マンションの耐震性に関するアンケート」住宅購入意識調査旧耐震基準…

  1. 不動産取引ガイド

    太陽光パネルが義務化!?
  2. 不動産取引ガイド

    出来れば、避けたい天井カセット型エアコン・マルチエアコン
  3. 不動産取引ガイド

    検索するなら今ならインスタ?!
  4. 不動産取引ガイド

    登記所に備え付けられている地図は明治時代に作られ、不正確なものが多い?!
  5. 不動産取引ガイド

    お住まいの「誕生日」はいつでしょうか? ~建物の新築年月日の調べ方~
PAGE TOP