不動産取引ガイド

不動産購入時の『火災保険』は補償範囲や特約もチェックする!

不動産購入時に『火災保険』に入られる方が多いかと思います。また、「もしもの時に困らないように」と、火災保険の補償を手厚くされる方が多くいます。近年は水災(水害)が増えており、その対策をされる方が増えているようです。火災保険の発生頻度は高くありませんが、「いつ起こるかわからない」、そして「起こった時に貯蓄だけではカバーできない」ことへの備えとして火災保険の仕組みがございます。勿論、潤沢な貯蓄をお持ちの方で起こった時は自分の貯蓄で賄うという方であれば加入しない選択肢もあります。

■火災保険の水災(水害)補償をご存知ですか?!

火災保険の水災(水害)補償では、台風、暴風雨、豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ・落石等の水による災害が原因で、建物や家財が所定の損害を受けた場合に補償が受けられます。一般的な火災保険の水災で補償される災害の種類と補償範囲については、まずは「洪水」については台風、暴風雨などにより河川の水量が急激に増加して発生した洪水や、融雪による洪水での被害を補償。ゲリラ豪雨などにより排水が追い付かず床上浸水となった被害も含みます。続いて「高潮(たかしお)」については台風や発達した低気圧などにより海水面が普段より著しく上昇することにより、防波堤などを超えて海水が流れ込み、浸水被害に遭った場合の補償となります。「土砂崩れ」については大雨や集中豪雨などにより、山の斜面や崖などの土砂が崩れ落ちる被害を補償。川底の土砂や泥が一気に流される土石流も含みます。

また、火災保険では、保険の対象を「建物のみ」、「家財のみ」、「建物と家財」の3つの中から選びますが、保険の対象をどのように選択するかによって、水災に遭ったときに補償される損害が異なります。

保険の対象を建物のみとした場合、建物本体だけでなく、建物がある敷地内に設置されたもので、かつ保有しているものは補償されます。床暖房やトイレ、システムバス、システムキッチンなどのように、建物のなかにあるものでも動かせないものは建物とみなされます。保険の対象を家財のみとした場合、建物がある敷地内に収容される家財が補償されます。家具やテレビ、冷蔵庫などの家電製品、自転車など生活用動産が該当します。保険の対象を建物と家財とした場合は、建物と家財の両方が補償されます。

■水災(水害)補償は全ての水災には対応してくれない?!

補償内容は「名称」による思い込みにも注意が必要です。例えば「水災補償」は全ての水災に対応してくれると思っている方が多いかと思います。確かに床上浸水や土砂崩れは対象になりますが、床下浸水の場合、地盤から45センチ以上という条件があるのが一般的です。
不動産購入時に「水災(水害)補償」の必要の有無を調べる際には、「重ねるハザードマップ」というWEBシステムで検索して自宅の水災リスクをシミュレーションして判断される事もお勧めです。

https://disaportal.gsi.go.jp/ (ハザードマップポータルサイト)

なお、マンションの管理組合が加入している保険は、共用部分のみです。自分の家(専有部分)は自分の火災保険で守る必要があります。

■不動産購入時に入る火災保険には特約内容もきちんとチェックしましょう!

保険ではトラブルを「事故」と言いますが、発生した事故が保険の対象になっていて、さらに保険会社などに請求して初めて保険金が受け取れます。保険料を支払っているのに請求しないのは一番もったいない話です。補償の詳細や契約期間中の変更ルールは、保険会社や共済のプランにより異なりますが、不要なものは不動産購入時に入る必要のない保険内容もございますので、注意して確認をするようにしましょう。一口に火災保険といっても補償は多岐にわたり、保険料も地域や建物、保険金額によって変わります。

日本の法律では、失火による賠償責任が限定されています。重大な過失の場合を除き、もらい火で自分の家が燃えても賠償請求できません。内閣府の調査では建物に火災保険などをかけている割合は約85%。もしもの時に家を建て替える資金が準備できないなら、火災保険は必須です。

加入済みの火災保険を変更するために解約したり、不要な特約を外したりする場合、残っている期間の保険料相当分は返還されます。

いずれにせよ、不動産購入時には火災保険の選択も必要となります。
ぜひ、今後の参考にお役立て下さい。

法人営業部 犬木 裕

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