不動産取引ガイド

不動産購入後の引っ越し時の注意点について

春は、お子様の入学や就職、転勤などで引っ越しを検討する方が増える時期です。その際、多くの方が引っ越し業者を手配し、移動を行います。また、この時期は不動産を購入する方も多く、賃貸住宅を退去する際には、入居時に支払った敷金の精算が行われます。退去時に発生する原状回復費用の負担について、事前に理解しておくことが重要です。

■ 不動産購入後の注意点~賃貸住宅の退去連絡期限について~

初めて不動産を購入する場合、さまざまな手続きに時間と労力を費やすことになります。特に、賃貸住宅に住んでいた方は、早めに退去の連絡をすることをおすすめします。不動産会社への退去連絡のタイミングは契約によって異なりますが、一般的には1カ月前までの申し出が必要です。連絡が遅れると、希望する日に解約できず、退去後も家賃を日割りで支払う可能性があるため、注意が必要です。また、退去後に不動産会社と部屋の状態を確認する場合、立会いの日程も事前に決めておきましょう。引っ越し業者を利用する場合は、複数の会社から見積もりを取り、比較検討することが大切です。ただし、春の移動シーズンは業者の予約が埋まりやすいため、早めに手配しないと希望日に引っ越しできないことがあります。可能であれば、有給休暇を利用し、比較的料金の安い平日に引っ越すことを検討すると良いでしょう。

■不動産購入後は時間が取られる~役所関係の手続きについて~

また、引っ越し後は電気・ガス・水道の解約手続きを行うほか、行政手続きも必要です。同じ市区町村内での引っ越しなら「転居届」、異なる市区町村への引っ越しなら「転出届」と「転入届」をそれぞれ提出しなければなりません。郵便物の転送届なども忘れずに手続きを進めることをおすすめします。これらの手続きをスムーズに行うために、平日を活用するのがよいでしょう。

■不動産購入後の清算について~賃貸退去時の注意事項~

引っ越し後には、室内のチェックや鍵の返却、敷金の精算などの手続きが発生します。基本的には不動産会社の指示に従うことで、スムーズに進めることができます。敷金は、借り主が貸主に対する債務を担保するために預けるお金です。退去時には原状回復義務があり、その費用が敷金から差し引かれ、残額が返還されます。原状回復費用については、どこまでが借り主の負担になるのか明確でない部分があり、トラブルになりやすい点です。2020年4月の民法改正により、「通常の使用による損耗や経年変化については借り主の負担ではない」ことが明記されました。事前にこのルールを理解し、不要な費用を支払わないようにしましょう。国土交通省は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を策定し、貸主・借り主それぞれの負担範囲を明確にしています。詳細は以下のリンクをご参照ください。

<原状回復をめぐるトラブルとガイドライン>

例えば、フローリングの色落ちについては、日照や雨漏りが原因であれば貸主負担ですが、借り主の過失で雨が吹き込んだ場合は借り主の負担になります。また、故意の落書きや清掃不足による汚れ、放置によるカビの発生なども借り主の負担となるため注意が必要です。ただし、契約内容によってはガイドラインよりも賃貸借契約書が優先されるため、事前に契約書を確認しておくことをおすすめします。

■引っ越し時のトラブルは、専門機関へ

敷金が不当に返還されない場合や納得できない請求をされた場合は、国民生活センターや自治体の相談窓口を利用すると良いでしょう。退去時には、不動産会社と部屋の状態を確認し、写真やメモを取るなどして証拠を残しておくことが重要です。また、多くの方が入居時に火災保険に加入していますが、契約期間が残っている場合は未経過分の保険料が返金されることがあります。引っ越しの際は、保険の返金手続きを忘れずに確認しましょう。不動産購入、売買契約、引っ越しなど、住み替えにはさまざまな準備が必要です。特に春は忙しい時期であり、体調管理や仕事の都合なども考慮する必要があります。余裕を持ったスケジュールを立て、計画的に引っ越しを進めることをおすすめします。

今後の参考にお役立て下さい。

法人営業部 犬木 裕

 

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