不動産取引ガイド

日本の住宅購入で最も重要な「ハザードマップ」の活用法

住宅購入を検討する際、多くの人が駅からの距離、価格、間取り、最新設備などの目に見える条件を優先してしまいます。しかし、近年の気候変動による豪雨災害の激甚化や、切迫する巨大地震のリスクを考えると、災害リスクの確認は物件選びにおいて最優先事項となっています。2024年元日に発生した能登半島地震では、マグニチュード7.6を記録し、多くの住宅が倒壊や液状化被害に見舞われました。また、近年は線状降水帯による記録的豪雨が頻発しており、これまで安全とされていた地域でも突然の浸水被害が発生するケースが増えています。こうした現実を目の当たりにすると、災害リスクを軽視した住宅購入がいかに危険かが分かります。

■切迫する巨大地震のリスクの回避に「ハザードマップ」の活用を!

政府の地震調査委員会によると、南海トラフ地震が今後30年以内に発生する確率は70~80%とされています。さらに首都直下地震については、マグニチュード7クラスの地震が今後30年以内に発生する確率が70%程度と予測されており、いつ起きてもおかしくない状況です。2025年現在、日本各地で地震活動が活発化しており、専門家からは「いつ大地震が来てもおかしくない」という警告が繰り返されています。住宅は人生で最も高額な買い物であると同時に、家族の命を守る場所でもあります。だからこそ、購入前の災害リスク確認は欠かせません。

■ハザードマップで何がわかるのか?!

現在、ほぼすべての自治体が洪水、津波、土砂災害、液状化現象、地震の揺れやすさ、火災延焼リスクなど、項目別のハザードマップを公開しています。これらを確認することで、検討中の物件がどのような災害リスクにさらされているかを事前に把握できます。特に注目すべきは以下の5つの項目です。
1.洪水浸水想定区域: 河川の氾濫時に浸水が想定される地域と浸水深
2.土砂災害警戒区域: 土石流、地滑り、がけ崩れの危険がある区域
3.津波浸水想定: 沿岸部での津波による浸水想定範囲
4.液状化リスク: 地震時に地盤が液状化する可能性
5.地震の揺れやすさ: 地盤の特性による揺れの大きさの違い

■国土交通省「ハザードマップポータルサイト」の活用について

全国の災害リスク情報を一元的に確認できる便利なツールが、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」です(https://disaportal.gsi.go.jp/)。このサイトには2つの主要機能があります。
1.重ねるハザードマップ: 洪水、土砂災害、津波、道路防災情報など複数の災害リスク情報を地図上に重ねて表示できます。検討中の物件の住所を入力するだけで、その地点が抱える様々な災害リスクを一度に確認できる優れものです。
2.わがまちハザードマップ: 各市区町村が作成した詳細なハザードマップに直接リンクしています。より地域に密着した情報や避難場所、避難経路なども確認できます。

サイトの使い方が分からない場合は、パンフレット(https://disaportal.gsi.go.jp/hazardmap/pamphlet/pamphlet.html )で詳しい操作方法を確認できます。

■首都圏の地域別リスク傾向について

首都圏を例にとると、一般的に西側エリア(武蔵野台地など)は地盤が固く地震に強いとされています。一方、東側の下町エリアは沖積層と呼ばれる軟弱な地盤が多く、地震の揺れが増幅されやすい傾向があります。また、荒川、江戸川、多摩川周辺エリアは、大雨時の洪水や高潮のリスクが高いとされています。2019年の台風19号では、多摩川が氾濫危険水位に達し、周辺住民が避難する事態となったことは記憶に新しいでしょう。ただし、これらはあくまで一般的な傾向です。同じ区内でも場所によってリスクは大きく異なるため、必ず具体的な住所でハザードマップを確認することが重要です。

■ハザードマップ確認後の判断について

ハザードマップでリスクが確認されたからといって、必ずしもその物件を諦める必要はありません。重要なのは、リスクを理解した上で適切な対策を講じることです。洪水リスクがある地域なら、2階以上の住居を選ぶ、高床式の住宅を検討する、水害保険に必ず加入するなどの対策が考えられます。液状化リスクがある地域なら、地盤改良工事の実施状況を確認することが重要です。

■住宅購入前のハザードマップの活用提案について

住宅購入は人生の大きな決断です。後悔しないためには、目に見える条件だけでなく、災害リスクという目に見えにくい要素にもしっかり目を向ける必要があります。ハザードマップの確認は無料で、スマートフォンからでも簡単にできます。購入を検討しているエリアがどのようなリスクを抱えているのかを必ず確認し、そのリスクを理解し納得した上で購入を決断することを強くお勧めします。家族の安全と資産を守るために、ぜひハザードマップを活用してください。今後の参考にお役立てください。

法人営業部 犬木 裕

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