平成30年7月6日に民法が改正されました。
<法務省>http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00222.html
相続法の分野については、昭和55年以来の大改正と言われています。
では具体的にどういった改正があったのでしょうか。
大きく変わった点のひとつが、いわゆる「配偶者居住権」の新設です。
超高齢化社会を迎えたいま、相続が発生した際にその配偶者もまた超高齢である、という状況が発生しています。
その配偶者の住まいを確保するために新設されたのが「配偶者居住権」です。
これまでは遺産相続が発生した場合に、自宅の名義を誰にするか、という一択しかありませんでした。
今回の民法改正により「配偶者居住権」が創設されたため、「不動産の名義を誰にするのか」とは別に「住む権利を持つのは誰になるか」、というように「所有権」と「居住権」を分けて協議することができるようになりました。
父親が亡くなったあと、実家にそのまま母親が住むのは当たり前のようにも感じますが、それを法律で守らなければならないほど、親族間のつながりが希薄になっている、個人間の権利意識が変わってきている、ということのようです。
遺産分割協議においても、「居住権」と「居住権という負担付の所有権」という評価になりますので、それぞれの価格での相続税の判断になるようです。
さらに、遺言書に記載することで、この「配偶者居住権」を指定することもできるようになります。
「配偶者に不動産保有の負担を負わせたくないけれども、終の棲家を確保してあげたい」といったニーズには応えられるのかもしれません。
また、この「配偶者居住権」を第三者に対抗するには、登記が必要になります。
登記をしておくことで、居住権があることを相続人以外の人にも証明できるようになるのです。
この改正民法の施行日はこれから決まるようですが、実際の運用までにも周辺情報に気をつけてきましょう。