東京急行電鉄は9月2日、前身である田園都市株式会社の創業から100年を迎えるようです。憧れの住宅地「田園都市」。実際に歩いてみるとシートで覆われた空き地や、好天なのに雨戸を閉め切った家が目立つようです。また、最近の不動産業者は「駅から遠くて売れない」と漏らしているようで、以前、憧れの住宅地であった「田園都市」に異変が起きているようです。「鉄道事業の源泉だった田園都市に何が起きているのか?!」との記事が日本経済新聞に出ていましたので、個人的な意見も交えて記載したいと思います。
田園都市株式会社は渋沢栄一氏が、過密な都心から離れて自然に親しめる住宅開発を狙い、1918年に設立しました。同社から独立した目黒蒲田電鉄が28年に田園都市株式会社を吸収合併し、今日の東急グループが誕生しました。私の出身が神奈川県大和市という事もあり、子供の頃から渋谷駅へは田園都市線を活用して移動していましたので、親しみのある路線です。しかし、残念ながら田園都市線は駅から離れると坂道が多い場所も多く、開発から50年以上経過した今は住民も同じように年齢を重ねているようです。そもそも1966年に田園都市線、溝の口‐長津田間が開通し、1区画が大きい、1億円を超えるような分譲住宅が飛ぶように売れたようですが、これから新たに住宅購入をされる際には注意が必要なようです。
紙面を拝見すると横浜市と東急グループでは、たまプラーザ駅周辺を郊外再生のモデル地区にも指定されているようです。駅前への住み替えを促したり、住民の交流を支援したりして再生に取り組んでいるようですが、対策が十分とはいえないようです。また残念ながら、田園都市として有名な美しが丘エリアはモデル地区として問題解決の対象となっただけ救われているようですが、それ以外のエリアでは再生に向けた動きが遅れているようです。
つまりはそのようなエリアでは不動産の価値に影響を及ぼしそうです。
今後、日本の不動産市場は大幅に縮小し、三極分化するであろうと言われます。
- 価値を維持する、あるいは価値が上がる不動産
- なだらかに下落し続ける不動産
- 限りなく価値が無くなる、あるいはマイナスとなる不動産
という三極分化です。
このうち、今後の見通しが明るい不動産は、とにかく「立地がよいもの」に限定されます。「立地」で9割の資産性が決まるとも言われます。もともと、不動産は一にも二にも立地が重視されるものであり、急行が止まる主要駅に近いことや、街としてのブランド力が極めて高いエリア(銀座、六本木、赤坂など)にアクセスしやすいなどの要素で評価が高くなります。
東京急行電鉄の主導によって開発が行われた、東急田園都市線の梶が谷駅‐中央林間駅間の沿線地域の多摩田園都市エリアには62万人が住んでいるようなので、沿線沿いの活性化に今後注目をしていきたいと思います。
法人営業部 犬木 裕