再生可能エネルギーの普及へ向け、家庭や電気自動車(EV)の蓄電池をつないで共有する動きが広がっているようです。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO3633648010102018MM8000/
電力会社や自動車大手、蓄電池メーカーなどが、小さな蓄電池を取りまとめ一つの大容量蓄電池のように使う技術の実用化を進めている事が載っていました。太陽光で発電した電気を無駄なく使えるほか、災害時に非常用電源として機能することで、再生エネルギーの利用拡大につながってくることに期待が持てそうです。しかし、電池のコスト削減などの課題もあり、乗り越えなければいけないハードルは高そうです。
点在する小さな蓄電池をつなぐシステムはVPP(仮想発電所)と呼ばれます。VPP(仮想発電所)とはバーチャルパワープラント(Virtual Power Plant)の略で、日本語に訳すと「仮想発電所」となり、全国各地に存在する小規模の再生可能エネルギー発電をまとめて制御・管理することで、一つの発電所のように機能させることを言うようです。経済産業省は2020年度以降、1万5千世帯の電力を賄えるように5万キロワット規模のVPP(仮想発電所)導入を目指すようです。
東京電力ホールディングス(HD)や関西電力、住宅用蓄電池大手のエリーパワー(東京・品川)などは、家庭やオフィスなどの蓄電池をつなぎ、ネット経由で一括制御する技術の開発を進めるているようで、本システムが出来る事で「家庭で蓄電池を持つ時代」となっていきそうです。
電力は需要と供給を瞬時に一致させないと、北海道地震で発生したような停電を招き、非常に困ります。私のお付き合い先の担当者も、札幌市白石区の電気の復旧遅れで、「かなり困った」と話されていました。東電などは複数の蓄電池から取り出す電気の量を微調整しながら素早く制御できるようにし、まずは計500台の蓄電池を制御する技術を確立し、2021年度までの実用化を目指すようです。
災害時には非常用電源になる蓄電池を上手く活用し、昼間は太陽光で発電する電力を充電し夜間に蓄電した電気を使うなどの工夫を行うだけでも効率的です。家庭は蓄電池の電気を使うことで電力会社に支払う電気料金を抑えられる可能性もあります。将来は需給調整に協力した消費者に協力金を支払うことを目指しており、蓄電池の普及を後押しすることに繋がりそうです。家庭で蓄電池を持つ時代?!もそう遠くはない将来かもしれません。
日産自動車や東北電力、三井物産は今月、EV(Electric Vehicleの略で、日本語では電気自動車のこと)を活用し電力を需給調整する実証事業を仙台市で始めたようです。日産のEV「リーフ」を専用の充放電スタンドにつなぎ、地域の電力需要に応じて充電したり放電したりする。近年、資源制約や環境問題への関心の高まりを背景に、電気自動車が注目を集めていますし、このような使い方もできる事でEVを活用する事も一般的になりそうです。
課題は住宅用で1台200万円前後する蓄電池のコストではありますが、消費者が十数年で投資を回収できるようなインセンティブの導入や普及見越した生産コストの低減などの仕組みが必要だと思います。
EVは車載リチウムイオン電池を使い家電などを動かす蓄電池としての役割が期待できる。ホンダもEVにためた電気を家庭用に供給したり、太陽光などの直流電源を家庭用の交流に変換したりする充電器を開発しました(トヨタはEV開発に遅れているというような噂があるようですが・・・)。
政府は2016年度に約15%だった再生エネの比率を2030年度に22~24%に高める目標を掲げているだけに、VPP(仮想発電所)の実用化で蓄電容量が増えれば、再生エネルギーをいったん貯めるなど需給調整が容易になり普及を後押しする。
欧州ではドイツで数千カ所の電源を束ねる事業者が利益を出すなどすでにVPP(仮想発電所)が実用段階にあるようです。日本でも再生エネルギーの地産地消を目指す動きが広がりそうであり、「家庭で蓄電池を持つ時代?!」となっていくか、今後もドイツの動きに注目していきたいと思います。
法人営業部 犬木 裕